ポーター (DD-356)

ポーター(DD-356):太平洋の波濤に散った駆逐艦

USSポーター(DD-356)は、アメリカ海軍が誇る駆逐艦でした。ポーター級駆逐艦の1番艦であり、その艦名はアメリカ海軍に多大な貢献をしたデヴィッド・ディクソン・ポーター代将とその子に由来します。同名の艦としては3代目にあたります。

誕生から太平洋艦隊へ

1933年12月18日、ニュージャージー州カムデンにあるニューヨーク造船所でポーターは建造されました。そして1935年12月12日、カーライル・パターソン・ポーターによって命名され、進水しました。1936年8月27日、フィラデルフィアでフォレスト・B・ロイヤル中佐の指揮の下、正式に就役しました。

就役後、ポーターは北ヨーロッパ海域で調整訓練を行い、1937年にはイギリス国王ジョージ6世の戴冠式に参列するためニューファンドランド島のセントジョンズを訪問しました。同年6月から7月には、アメリカで開催されたボーイスカウト・ジャンボリーに合わせ、ワシントン海軍工廠に停泊しました。その後、太平洋艦隊に配属され、パナマ運河を通過、1937年8月5日にはカリフォルニア州サンフランシスコに到着しました。第二次世界大戦の勃発まで、サンディエゴを拠点に太平洋艦隊と共に活動しました。

真珠湾攻撃とガダルカナル沖海戦

1941年12月5日、運命の日は訪れました。日本軍による真珠湾攻撃のわずか2日前、ポーターは真珠湾を出航しました。ハワイ海域で巡洋艦や他の駆逐艦と共に哨戒任務に就き、1942年3月25日には護衛船団と共に西海岸へ向かいました。西海岸沖では第1任務部隊と共に4ヶ月間活動しました。

8月中旬に真珠湾に戻り、ハワイ海域で訓練の後、10月16日、第16任務部隊と共にソロモン諸島へ向けて出航しました。そして1942年10月26日、ガダルカナル島北東部で、運命の瞬間が訪れました。第16任務部隊は日本軍と激戦を繰り広げ、南太平洋海戦が勃発したのです。

この海戦において、不時着したエンタープライズ艦載機の救助に向かっていたポーターは、誤ってその雷撃機から発射された魚雷の直撃を受けました。(一部資料では、日本潜水艦伊21の雷撃とする説もありますが、これは誤りです。)乗組員は艦を放棄し、ポーターは僚艦であるショー(USS Shaw, DD-373)の砲撃によって沈められました。

そして歴史に

ポーターは1942年11月2日に除籍されました。短いながらも輝かしい生涯で、第二次世界大戦における戦功により1個の従軍星章を受章しました。ポーターの沈没は、太平洋戦争におけるアメリカ海軍の損失、そして激戦のすさまじさを物語る象徴的な出来事となりました。その名は、アメリカ海軍の歴史に永遠に刻まれています。

参考文献

防衛庁防衛研修所戦史室『戦史叢書83　南東方面海軍作戦(2)　ガ島撤収まで』朝雲新聞社、1975年8月
チェスター・ニミッツ、Ｅ・Ｂ・ポッター、実松譲・富永謙吾訳『ニミッツの太平洋海戦史』恒文社、1962年12月

関連情報

history.navy.mil: USS Porter - ウェイバックマシン (※リンク切れの可能性があります)
navsource.org: USS Porter
* hazegray.org: USS Porter

※この記事は、アメリカ合衆国政府の著作物であるDictionary of American Naval Fighting Shipsに由来する文章を含んでいます。

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