マックス・バウアー

マックス・ヘルマン・バウアー：軍人、武器商人、そして国際的な軍事顧問

マックス・ヘルマン・バウアー（1869年1月31日–1929年5月6日）は、ドイツ帝国陸軍の大佐であり、第一次世界大戦後にソビエト連邦や中華民国で軍事顧問を務めた人物です。彼の波乱に満ちた生涯を、軍人、武器商人、そして国際的な陰謀家としての側面から掘り下げて解説します。

軍人としての出発

バウアーはクヴェトリンブルクで生まれ、当初は法学を学びましたが、家計の事情で陸軍に入隊しました。砲兵士官としてのキャリアを積み重ね、1899年から1902年まで砲兵試験委員会に勤務。1907年にはプロイセン参謀本部に転属し、砲兵専門官としてロシア国境の要塞建築に関与しました。日露戦争における旅順攻囲戦を分析し、二十八糎砲の効果に着目。クルップ社に大口径砲の開発を命じ、後の42cm砲開発へと繋げました。

第一次世界大戦での役割

第一次世界大戦中、バウアーは陸軍最高司令部作戦部に所属し、重砲・要塞部長としてドイツ軍の作戦を支えました。42cm砲の開発に貢献する一方で、その限界を認識し、シュリーフェン・プランに基づくベルギー侵攻を支持。リエージュ攻略戦では、オーストリア軍から貸与されたシュコダ30.5cm臼砲を使用しました。

1915年からは参謀総長との対立を経て、火炎放射器の開発責任者となり、エーリヒ・ルーデンドルフとの関係を深めました。その功績により、プール・ル・メリット勲章を授与されています。

戦後の混乱と義勇軍

第一次世界大戦後、バウアーはヴァイマル共和政に反対し、「民族団結」を組織。ヴァルデマール・パープストらと連携し、バルト三国からの義勇軍を組織しました。カップ一揆では臨時政府の首相府長官を務めましたが、一揆の失敗後、指名手配を受けて逃亡生活を送ることになります。

ソ連と中国での軍事顧問

1922年、バウアーはソビエト連邦政府の要請により毒ガス戦術の教書を執筆。1923年にはレフ・トロツキーの招きでモスクワに滞在し、ソ連の経済・産業状況を視察しました。また、ドイツ企業の支援による化学薬品工場建設に関与し、航空機製造会社ユンカースの代理人としても活動しました。独ソ軍事協力では、戦車、重砲、航空機、毒ガスなどの試験が行われ、バウアーはその橋渡し役を務めたとされています。

その後、スペインやアルゼンチンでも活動し、スペインでは航空機産業の発展に貢献、アルゼンチンではイナゴ駆除の監督官を務めました。1927年、ルーデンドルフの仲介により広東政府の顧問となり、蔣介石の軍事顧問として中独合作を推進しましたが、1929年に上海で天然痘により死去しました。

評価と遺産

マックス・ヘルマン・バウアーは、軍事技術の専門家であると同時に、政治的な野心家であり、国際的な武器取引に関与した人物でした。第一次世界大戦後の混乱期において、その活動は様々な国に影響を与え、毀誉褒貶が相半ばする評価を受けています。

書籍

Max Bauer, Der 13. März 1920, München 1920
Adolf Vogt, Oberst Max Bauer Generalstabsoffizier im Zwielicht 1869-1829, Osnabrück, 1974.

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