マツダ・スクラム

マツダ・スクラム：軽自動車の多様な顔

マツダ・スクラムは、マツダが販売していた軽自動車シリーズです。5ナンバー登録の乗用車タイプ（ワゴン）、4ナンバー登録の商用バンタイプ、そしてトラックタイプと、幅広いバリエーションを展開していました。かつてはオートザムブランドで販売されていた時期もありました。スクラムシリーズは、その歴史の中で幾度もの進化を遂げ、時代のニーズに合わせた改良を重ねています。

スズキとの深い繋がり

スクラムシリーズは、その設計・製造においてスズキとの深い繋がりを持っています。旧型軽トラック「ポーターキャブ」の後継として1989年に登場した初代スクラムは、既にスズキが製造していた軽自動車をベースとしていました。乗用ワゴンタイプと商用バンタイプはスズキ・エブリイ、トラックタイプはスズキ・キャリイがベース車種となっています。このOEM供給は、スクラムシリーズの歴史を通して継続されており、その結果、スクラムは、三菱のクリッパーシリーズと兄弟車種という、日本市場では珍しい関係性を築くこととなりました。 スクラムシリーズのフロントグリルやバンパーは、ベース車種であるエブリイやキャリイと共通のデザインとなっています。

各世代のスクラム

初代スクラム（1989年-1991年）： ポーターキャブの後継として登場。550ccエンジンを搭載し、バンとトラックの2種類がラインナップされました。一部グレードには開放的なガラスルーフが設定されていました。発売当初はマツダブランドとオートザムブランドの両方のステッカーが貼られていましたが、後にオートザムブランドへと一本化されました。

2代目スクラム（1991年-1999年）： フルモデルチェンジにより、バンはミッドシップレイアウト、トラックはキャブオーバーレイアウトを採用。660ccエンジンを搭載し、出力も向上しました。販売ブランドは、途中でマツダブランドに戻りました。

3代目スクラム（バン/ワゴン：1999年-2005年、トラック：1999年-2013年）： 新軽規格に対応し、ボディサイズの大型化とセミキャブオーバースタイルへの変更がなされました。バン、ワゴン、トラックの3タイプがラインナップされ、安全装備や快適装備の充実も図られました。 この世代では、エンジンにDOHCエンジンを採用するなど、大幅な性能向上も図られました。ワゴンは、後部座席の居住空間の拡大や快適性の向上に重点が置かれた設計になっています。一方、トラックは、積載性能と使い勝手の向上を目指した設計でした。


4代目スクラム（バン：2005年-2015年、トラック：2013年-）： 再びフルモデルチェンジを行い、ワゴンはインパネシフトの採用でウォークスルーが可能になり、多彩なシートアレンジが可能となりました。バンは荷室の使いやすさを重視した設計です。トラックは先代までのセミキャブオーバー型からキャブオーバー型に変更され、荷台の長さを確保しつつ室内空間も広くなりました。この世代では、燃費性能や安全性能の大幅な向上が図られました。安全性に関しても、衝突被害軽減ブレーキやABSなど、現代的な安全装備が充実しました。


5代目スクラム（バン/ワゴン：2015年-）： 最新の安全装備と燃費性能を備えたモデルとして登場しました。ワゴンは室内空間の拡大、バンは荷室空間の拡大と使いやすさの向上が図られました。バンでは、自動化されたトランスミッション（AGS）を採用するなど、先進技術も取り入れられています。

車名の由来

スクラムという車名は、ラグビー用語の「スクラム」（選手たちが肩を組んで密集する状態）から来ています。顧客やマツダグループの協調・連帯を象徴する言葉として選ばれました。

まとめ

マツダ・スクラムは、長年にわたって販売されてきた軽自動車シリーズです。スズキとのOEM供給という特殊な関係性、多様なボディタイプ、そして時代の変化に合わせて改良を重ねてきた歴史は、軽自動車市場におけるスクラムの重要な特徴となっています。 それぞれの世代で、使いやすさ、安全性、燃費性能が向上し、顧客のニーズに応える努力が見て取れます。スクラムは、単なる軽自動車という枠を超え、マツダの企業理念や、時代を反映した歴史を持つ車と言えるでしょう。

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