マツダ・SKYACTIV-D

マツダ SKYACTIV-D：燃費と環境性能を両立した革新的ディーゼルエンジン

マツダのSKYACTIV-Dは、同社が開発したディーゼルエンジンのシリーズ名です。優れた燃費性能とクリーンな排ガスを実現することで知られており、SKYACTIV TECHNOLOGYというマツダの技術革新戦略の中核を担っています。

ディーゼルエンジンの課題とSKYACTIV-Dの革新

ディーゼルエンジンはガソリンエンジンに比べて熱効率が高く、燃費に優れる反面、課題も存在します。高い圧縮比による高温高圧の燃焼環境は、不完全燃焼による煤の発生や窒素酸化物（NOx）の増加につながります。また、高圧力に耐えるエンジン構造は、部品の重量増加を招き、エンジンの大型化・重量化にも繋がります。

SKYACTIV-Dはこれらの課題に対し、独自の技術で挑みました。従来のディーゼルエンジンよりも低い圧縮比と最大筒内燃焼圧力を実現することで、燃焼効率の向上と有害物質の排出量削減を両立。ピストン、シリンダーヘッド、シリンダーブロックなどの軽量化も徹底的に図り、エンジン全体の小型化・軽量化を達成しました。

さらに、可変バルブタイミング機構（VVL）や、複数のターボチャージャーによる2ステージターボ（一部車種は可変ジオメトリターボ）を採用。これにより、高価で複雑な尿素SCRシステムなどの排ガス後処理装置を使わずに、ディーゼル微粒子捕集フィルター（DPF）のみで高い環境性能を実現しています。

エンジンオイルとエネルギーバランスへの配慮

近年の日本車エンジンは、燃費向上のため低粘度オイルの使用が主流となっています。SKYACTIV-Dも例外ではなく、マツダ純正のSKYACTIV-D専用エンジンオイルが推奨されています。粘度は、排気量によって0W-20または0W-30が指定されています。

マツダは、日本のエネルギー事情にも着目しています。日本は原油の輸入に依存しており、ガソリン車への依存度が高い一方で軽油は余剰気味です。SKYACTIV-Dの普及を通じて国内での軽油消費量を増やし、エネルギーバランスの最適化とCO2排出量削減を目指しています。

エンジンバリエーションと搭載車種

SKYACTIV-Dは、様々な排気量のエンジンが開発されています。

SKYACTIV-D 1.5

アクセラ（BML#）
デミオ/MAZDA2（DJ5#）
CX-3（DK5#）（2018年5月以前）

SKYACTIV-D 1.8

CX-3（DK8#）（2018年5月以降）
CX-30（DM8#）
MAZDA3（BP8#）

SKYACTIV-D 2.2

空冷式ツインターボを採用し、出力は改良によって175馬力から200馬力に向上しました。初期型では排気側カムシャフトの異常摩耗によるトラブルが報告されています。

CX-5（KE2#、KF2#）
CX-8（KG2#）
アテンザ/MAZDA6（GJ2#）
アクセラ（BM2#）

SKYACTIV-D 3.3

水冷式インタークーラー付きシングルターボで、Wエッグ型燃焼室を採用。

CX-60
CX-70
CX-80
CX-90

直列6気筒エンジンの開発

2020年には直列6気筒SKYACTIV-Dの投入を発表、2022年には3.3L直列6気筒エンジンがCX-60などに搭載されました。これは、マツダのディーゼルエンジン技術の更なる進化を示しています。

まとめ

SKYACTIV-Dは、燃費性能、環境性能、そして日本のエネルギー事情という様々な要素を考慮した、マツダの技術力の結晶です。今後の更なる発展にも期待が高まります。

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