マティーニ

マティーニ：カクテルの王様

マティーニは、ジンをベースとしたカクテルであり、「カクテルの王様」という異名を持ちます。その起源は諸説ありますが、マルティネスというカクテルが変化したもの、またはベルモットで有名なマルティーニ・エ・ロッシ社が販売促進のために広めたという説が有力です。

起源

マティーニの起源については、いくつかの説が存在します。

マルティネス説: マルティネスというカクテルが原型となり、変化してマティーニになったという説。
マルティーニ・エ・ロッシ社説: イタリアのベルモット製造会社であるマルティーニ・エ・ロッシ社が、自社のベルモットの販売促進のために「マティーニ」と名付けて広めたという説。作家の開高健もこの説を支持していました。
バーテンダー説: 1910年代にニューヨークのニッカボッカ・ホテルのバーテンダー、マルティーニが考案したという説。
ジン&イット説: ジンとスイート・ベルモットを使った「ジン&イット」が原型で、スイート・ベルモットをドライ・ベルモットに変えたものがマティーニになったという説。また、ジンをライ・ウイスキーに変えるとマンハッタンになるという説。

近年では、ジンやベルモットを使用しないエスプレッソ・マティーニやフレンチ・マティーニなどもマティーニの一種として扱われることがあります。特にアメリカでは、マティーニグラスで提供され、作り手がマティーニと呼べば、それがマティーニとして認識される傾向があります。

レシピ

一般的なマティーニのレシピは以下の通りです。

ドライ・ジン - 3
ドライ・ベルモット - 1

作り方：

1. 全ての材料をミキシンググラスに入れ、ステアします。
2. カクテルグラスに注ぎ、オリーブを飾ります。

バリエーション

マティーニには数多くのバリエーションが存在します。

ドライ・マティーニ: ドライ・ジンとドライ・ベルモットの比率を4:1にしたもの。ヘミングウェイが愛飲したことで知られています。国際バーテンダー協会公認のレシピでは6:1です。
エクストラ・ドライ・マティーニ: ドライ・ジンとドライ・ベルモットの比率を7:1にした、より辛口なマティーニ。
スイート・マティーニ: ドライ・ベルモットをスイート・ベルモットに変え、ジンとベルモットの比率を2:1にしたもの。
ミディアム・マティーニ: パーフェクト・マティーニとも呼ばれ、ドライ・ベルモットとスイート・ベルモットを両方使用します。比率はジン:ドライ・ベルモット:スイート・ベルモット = 4:1:1。
マティーニ・オン・ザ・ロック: 3:1で作ったマティーニを氷を入れたグラスに注いだもの。
ウォッカ・マティーニ: ジンをウォッカに変えたもの。
テキーラ・マティーニ: ジンをテキーラに変えたもの。
焼酎マティーニ（酎ティーニ）: ジンを焼酎に変えたもの。
サケティーニ: ジンを日本酒に変えたもの。ドライベルモットの代わりに日本酒を用いることもあります。
ダーティ・マティーニ: ドライ・ベルモットをオリーブの漬け汁に変えたもの。
ギブソン: オリーブの代わりにパール・オニオンを飾ったもの。

マティーニにまつわる話題

ウィンストン・チャーチルは、ドライ・ベルモットの瓶を横目で眺めながらジンを飲んだという逸話があります。これは、ナチス・ドイツによるフランス占領でドライ・ベルモットが入手困難になったためと言われています。
アーネスト・ヘミングウェイの小説では、主人公がバーテンダーに15:1のドライマティーニを注文する場面があります。また、ガーリック・オリーブを使用するように指定しています。
007シリーズでは、ジェームズ・ボンドが「ウォッカマティーニを。ステアせずにシェイクで」と注文するシーンが有名です。また、『007 カジノ・ロワイヤル』に登場するヴェスパー・マティーニは、ボンドガール名から名付けられ、定番となりました。
* マリリン・モンロー主演の『七年目の浮気』では、モンローが注文したマティーニに砂糖を入れるように要求するシーンがあります。


マティーニは、そのシンプルながら奥深い味わいで、多くの人々に愛され続けているカクテルです。

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