マナ・プールズ

マナ・プールズ：ザンベジ川が育む野生動物の楽園

ジンバブエ西部に位置するマナ・プールズは、国立公園を含む広大な野生生物保護地域です。ザンベジ川下流の氾濫原に広がり、雨季には一面が湖となるこの地は、乾季になると水場を求めて多種多様な動物たちが集まる、生命力あふれる場所へと姿を変えます。

マナ・プールズの名前は、ショナ語で「4」を意味する「マナ」に由来します。これは、ザンベジ川中流域の蛇行によって形成された4つの大きな湖を指しています。川沿いの地域、島々、砂丘、そして点在する池などが織りなす景観は、マホガニー、イチジク、エボニー、アカシア、バオバブなどの木々が生い茂る森林と隣接し、手つかずの自然が色濃く残っています。

手つかずの自然が残る貴重な場所

マナ・プールズは、アフリカ南部でも開発の影響が少ない国立公園の一つとして知られています。1980年代初頭には水力発電施設の建設計画から保護され、1984年にはその貴重な自然が認められ、世界遺産に登録されました。さらに、2010年には「ザンベジ川中流域生物圏保護区」の核心地域の一つに、2013年にはラムサール条約に登録されるなど、国際的にもその重要性が認められています。

この地域は、ジンバブエ国内でも特にカバやナイルワニの生息地として重要であり、乾季にはアフリカゾウやアフリカスイギュウなどの大型哺乳類が多数集まります。また、クロサイ、リカオン、ニアラ、シマウマ、キリン、ヒョウ、カッショクハイエナ、チーター、ライオン、ウォーターバックなどのレイヨウ、ミナミベニハチクイなど、多様な野生動物たちの楽園となっています。

世界遺産としての価値

マナ・プールズは、1975年に国立公園となり、隣接するチュウォールサファリ地域、サピサファリ地域と共に、自然遺産として登録されました。IUCN（国際自然保護連合）の分類では、いずれも「国立公園」に分類されています。

世界遺産登録の基準としては、以下の点が評価されました。

基準(7): 卓越した自然美と美的価値を持つ地域であること。
基準(9): 陸上、淡水、沿岸、海洋生態系における重要な生態学的・生物学的プロセスを示す顕著な見本であること。
* 基準(10): 生物多様性の保全にとって最も重要かつ意義深い自然生息地を含み、絶滅危惧種の生息地など、普遍的な価値を持つ地域であること。

マナ・プールズは、ザンベジ川が育んだ豊かな自然と多様な生態系が共存する、かけがえのない場所です。その美しさと重要性は、世界遺産として未来へと受け継がれていくことでしょう。

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