モディボ・ケイタ

モディボ・ケイタ：マリ共和国初代大統領の生涯

モディボ・ケイタ（1915年6月4日 - 1977年5月16日）は、マリ共和国の政治家であり、初代大統領を務めました。彼はパン・アフリカ主義の思想を唱え、マリ連邦の首相として、またマリ共和国の初代国家元首として、その政治生命を捧げました。

生い立ちと政治活動の始まり

1915年、ケイタはフランス領スーダン（現在のマリ共和国）のバマコ近郊で、マリ帝国を築いたスンジャタ・ケイタの血を引く家系に生まれました。ダカールのウィリアム・ポンティ校を卒業後、教師としてバマコ、シカソ、トンブクトゥで教鞭をとりました。1944年にはフランス共産党系の研究グループに参加し、政治への関心を深めます。1946年、フランス領西アフリカに選挙権が付与されると、フェリックス・ウフェ＝ボワニを中心とするアフリカ民主連合の支部としてスーダン連合を結成し、党首として政治活動を本格化させました。

マリ連邦の成立と崩壊

1950年代後半、アフリカの植民地独立の機運が高まる中、ケイタはパン・アフリカ主義に基づき、フランス領西アフリカの連合を提唱しました。しかし、分離独立を主張するウフェ＝ボワニと対立し、レオポルド・セダール・サンゴール（セネガル）と連携を深めます。1959年1月には、フランス領スーダン、セネガル、オートボルタ（現ブルキナファソ）、ダオメー（現ベナン）の代表がダカールで会合を持ちましたが、スーダンとセネガルが統一国家を主張したのに対し、オートボルタとダオメーは独立国家の連合を主張したため、会議は決裂しました。1960年6月、スーダンとセネガルはマリ帝国にちなんだ「マリ連邦」を結成し、サンゴールが国会議長、ケイタが首相に就任しました。しかし、親西側のサンゴールと親東側のケイタとの間で路線対立が表面化し、わずか2ヶ月後の1960年8月20日にマリ連邦は解体しました。8月22日、スーダンはマリ共和国として独立し、ケイタは初代大統領に就任しました。

独立後のマリとケイタの失脚

独立後、ケイタはアフリカ諸国連合に加盟し、ソビエト連邦や中華人民共和国との関係を強化しました。アフリカ社会主義を掲げ、伝統的な農村共同体を基盤とした近代社会の建設を目指しましたが、セネガルとの断交と貿易禁止による輸出ルートの遮断、行政の未成熟、そして無理な国有化政策による生産の停滞により、経済は混乱し、計画は頓挫しました。1963年にセネガルとの国交は回復しましたが、マリ経済は依然としてセネガルのダカール港への依存度が高く、混乱が続きました。また、スーダン連合による一党独裁体制は国内の不満を高めました。1968年11月19日、ムーサ・トラオレ大尉による軍事クーデターが発生し、ケイタ政権は崩壊。ケイタは逮捕され、サハラ砂漠のキダル刑務所に収監され、10年近くの獄中生活を送った後、1977年5月16日に獄中で亡くなりました。

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