マルコム・ウィルソン
マルコム・ウィルソン
経歴
マルコム・ウィルソンは1956年2月17日にイギリスのカンブリア州コッカーマスで生まれました。彼の家族は自動車解体業を営んでおり、このため幼少期から様々な車に触れる環境で育ちました。10歳の時には、ラリーに熱中する客の車に乗せてもらったことで、モータースポーツへの興味を抱くようになります。特に、その時のドリフト体験が彼の心に深く刻まれ、以後のキャリアに大きな影響を与えました。
1970年代半ばからラリー活動を開始したウィルソンは、1978年と1979年にイギリス国内選手権「Castrol Autosport National Championship」で優勝するなど、頭角を現しました。1979年には「マルコム・ウィルソン・モータースポーツ（MWM）」というプライベートチームを設立し、さらなる飛躍を目指します。
1980年代には、イギリスラリー選手権（BRC）、ヨーロッパラリー選手権（ERC）、世界ラリー選手権（WRC）での活躍が続きます。WRCでは、フォードやMG（オースチン・ローバー）、ボクスホール（オペル）のファクトリーチームに所属し、フォード・RS200のテストドライバーとしても重要な役割を果たしました。1994年には、フォード・エスコートRSコスワースを駆りイギリスラリー選手権で再びチャンピオンに輝き、1995年を最後に選手としてのキャリアを終えます。
チーム代表としての活動
現役引退後、ウィルソンは1997年にMWMを改名し、Mスポーツとしてモータースポーツ界に再登場しました。この際、フォードからWRCのワークス活動を委託され、ウィルソンはチームの規模を拡大することとなります。地元のカントリーハウス「ドベンバイホール」を購入し、2000年には最新のファクトリーが完成しました。その後、2006年と2007年にはフォード・ワールドラリーチームがWRCの製造者部門で連覇を果たしました。
ウィルソンの英国モータースポーツへの貢献は高く評価され、2009年には大英帝国勲章のOBE（オフィサー）が授与されました。しかし、2012年にはフォードがワークス活動を停止することとなり、Mスポーツは製造者としての参戦を続けるとともに、カスタマーカー販売やGT3マシン、ラリークロスマシンの開発など、ビジネスの幅を広げていきました。ドベンバイホールでは約250名、ポーランド支社では約50名の従業員が活躍しています。
2017年には、セバスチャン・オジェがチームに参加し、3度目のマニュファクチャラーズタイトルを獲得します。2019年には、ビジネスに専念するため、ラリーチームの代表をリチャード・ミルナーに譲ったウィルソンは、今後の事業展開を見据えた新たな一歩を踏み出しました。
関連項目
- - Mスポーツ
- - マシュー・ウィルソン
- - ニッキー・グリスト（1990年、1991年にコンビを結成）
外部リンク
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