マルコ・ポーロ (装甲巡洋艦)

マルコ・ポーロ (Ariete Corazzato Marco Polo)

概要

イタリア海軍に属する装甲巡洋艦『マルコ・ポーロ』は、他船と異なるユニークな艦であり、その設計や性能において独特の特徴を持つ艦船です。元々は防護巡洋艦として建造されていましたが、1888年にフランス海軍が装甲巡洋艦「デュピュイ・ド・ローム」の建造を発表すると、急遽設計の見直しが行われ、舷側に装甲を備えた装甲巡洋艦へと改装されました。この決定は、イタリア海軍にとって競争力を維持するためのものでした。

艦形

船体のデザインは、当時の艦船の一般的な形状とは異なり、イタリア海軍の装甲巡洋艦の特徴である平甲板型の船体が採用されています。艦首部には、衝角が設置されており、最前部に15.2cm速射砲が装備されています。この砲は、単装式で断片防御の装甲板を用いた防盾が設けられており、艦首甲板にはさらに司令塔を備えた操舵艦橋が配置されています。

船体の中央部には2本の煙突があり、その両側には艦載艇のスペースが設けられています。この煙突周りには副砲として12cm速射砲が並列に配置され、艦載艇は特定のエリアに吊り上げて運用されます。後部には単脚式のマストがあり、その左右には後向きの主砲と連携した火力が配置されています。これにより、前後方向や左右方向への効果的な攻撃が可能となります。

兵装

主砲

主砲にはアームストロング社製の1892年型15.2cm速射砲が使用されています。この砲は、最大で9,140mまでの射程を持ち、毎分5～7発の発射が可能であり、仰角15度、俯角3度の俯仰能力を備えています。

副砲・水雷兵装

副砲には同じくアームストロング社製の1891年型12cm速射砲が採用されており、主砲に匹敵する射程を誇ります。また、7.5cm野砲や3.7cm機砲も配備されており、近接攻撃及び対水雷艇迎撃に対応可能です。

防御

本艦はその設計上、防護巡洋艦として建造されたため、装甲の配置には限界がありました。しかし、100mmの舷側装甲は当時のライバル艦と比較しても優れた部分もありました。ただ、主砲の防護に関しては、他艦に比べて防御力が不足しているとの評価を受けることもあります。

艦歴

『マルコ・ポーロ』はその後、さまざまな改装を経て、1911年には副砲の数が減少し、火力が低下しました。その後、第一次大戦中に全武装が撤去され、兵員輸送船「コルテラッツォ」として生まれ変わり、さらには「エウロパ」「ヴォルタ」と名称を変更しました。最終的には1922年に除籍され、解体される運命をたどりました。

結論

『マルコ・ポーロ』は、イタリア海軍の艦艇の中でも独特の設計と運用があった艦船であり、その歴史や性能は今なお多くの人々に語り継がれています。

もう一度検索