マレーシア標準時

マレーシア標準時（Malaysia Standard Time）

マレーシアで使用されている標準時（Malaysia Standard Time, MST または Malaysia Time, MYT）は、協定世界時（UTC）より8時間進んだUTC+8です。マレーシア標準時（マレー語: Waktu Piawai Malaysia, WPM）は、国内全域で統一されており、夏時間は導入されていません。

歴史

マレーシアの標準時は、複雑な歴史を経て現在の形に至っています。以下にその変遷を詳述します。

初期の地方標準時: 1901年1月1日まで、マレーシアは各地の天文台に基づいた地方標準時を採用していました。ペナン、マラッカ、シンガポールといった海峡植民地には天文台があり、それぞれが異なる標準時を使用していました。これらの地域間には、分単位での時間差が存在していました。

シンガポール標準時の採用: 1901年1月1日、鉄道、郵便、電報の普及により、スケジュール調整を簡素化するため、シンガポール標準時（UTC+06:55:24）が海峡植民地と英領マラヤ全域で採用されました。シンガポールが選ばれたのは、海峡植民地と英領マラヤを管轄する組織がシンガポールにあったためです。

東経105度を基準とした標準時: 1905年1月1日からは、東経105度（UTC+7）が海峡植民地と英領マラヤの標準時を決める経線として採用されました。この変更は1904年2月に決定されました。この時、フォート・カニングの報時球も影響を受けましたが、同日中に運用を開始しました。

夏時間の試みと恒久化: 1920年には、労働者の余暇時間を拡大するため、UTC+7:30とする法案が海峡植民地立法評議会に提出されましたが、一度は却下されました。1932年に再び提案され、議論の末、時間を20分進めたUTC+7:20を標準時とする「夏時間条例」が可決され、1933年から1年間適用されました。その後、1935年に条例が改正され、年限条項が撤廃され、UTC+7:20が恒久的に採用されました。

UTC+7:30への変更: 1941年、再度「夏時間条例」が改正され、UTC+7:30に変更されました。

日本占領下の時間変更: 1942年2月16日、日本軍がマレーシアを占領すると、マレーシアの時間は日本標準時（UTC+9）に変更されました。しかし、1945年9月12日に日本が降伏したことで、マレーシアの時間は元の英領マラヤ標準時に戻されました。正確な復帰日は不明です。

マレーシア半島の時間統一: 1981年12月31日、マレーシア政府はマレーシア半島の時間を30分進め、東マレーシアと同じUTC+8としました。この変更により、マレーシア全土で統一された時間となりました。

マレーシア半島標準時と東マレーシア標準時

かつては、マレーシア半島と東マレーシアで異なる標準時が用いられていましたが、1981年12月31日の変更により、現在は全土でUTC+8の標準時が使用されています。

標準時の管理者

1990年1月1日以降、マレーシアの標準時は、政府の委託により、SIRIM社傘下の国民度量衡学研究所（National Metrology Institute of Malaysia, NMIM）が管理しています。SIRIMは5つの原子時計を用いてマレーシア標準時を維持しています。

IANAのTime Zone Database

IANAのTime Zone Databaseには、マレーシアの標準時として以下の時間帯が登録されています。

Asia/Kuala_Lumpur (マレーシア半島)
* Asia/Kuching (東マレーシア)

これらの時間帯は、歴史的な経緯を踏まえたもので、現在のマレーシアでは、これらの地域全体で同じ標準時が使用されています。

まとめ

マレーシアの標準時は、歴史的な経緯から複雑な変遷を遂げてきました。初期の地域ごとの標準時から、シンガポール標準時の採用、そして夏時間の導入と撤廃を経て、最終的にマレーシア全土でUTC+8に統一されました。現在では、SIRIM社が管理する正確な時間を用いて、経済活動や日常生活が円滑に行われています。

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