マレー・ダーリング盆地

マレー・ダーリング盆地：オーストラリアの生命線を読み解く

オーストラリア南東部に広がるマレー・ダーリング盆地は、マレー川とダーリング川という二つの大河によって形成された広大な地域です。その面積は100万平方キロメートルを超え、ニューサウスウェールズ州、ビクトリア州、オーストラリア首都特別地域、クイーンズランド州、南オーストラリア州にまたがる広大な範囲を誇ります。

オーストラリアの穀倉地帯

盆地の大部分は平坦な低地で、内陸に位置するため降水量は比較的少ない地域です。しかし、スノーウィーマウンテンズ計画による灌漑事業によってマレー川の流量が安定的に確保されており、盆地全体で農業が盛んに行われています。小麦、綿花、米などの主要な農作物が栽培され、オーストラリアの食糧供給を支える重要な役割を果たしています。

悠久の流れと豊かな生態系

盆地を流れる河川は、その距離が長く、流れが緩やかなのが特徴です。それらの河川は大量の水を運び、広大な氾濫原を形成しています。氾濫原には無数の小川、三日月湖、森林、湿地が点在し、多様な生物が生息する豊かな生態系を育んでいます。

クサムラツカツクリ、イエアメガエル、カーペットニシキヘビ、ニンガウイ、フクロトビネズミ、ノドジロセスジムシクイなど、固有種を含む多様な動植物がこの盆地で確認されています。かつては、リバーランド生物圏保護区、ヤソング国立保護区、ハッター＝クキン・マレー＝クキン生物圏保護区、バーキンジ生物圏保護区がユネスコの生物圏保護区に指定されていましたが、残念ながら2018年と2020年にその指定は解除されています。

水資源管理の課題と持続可能な未来

マレー・ダーリング盆地は、農業用水の利用増加や気候変動の影響により、水資源の管理が重要な課題となっています。持続可能な農業を推進し、生態系の保全と経済発展の両立を目指すためには、流域全体の包括的な水資源管理が不可欠です。今後の取り組みが、この貴重な盆地の未来を左右すると言えるでしょう。

関連情報

ダーリング川
マレー川
* グレートアーテジアン盆地

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