マンティネイア

マンティネイア：古代ギリシア、アルカディア地方のポリス

マンティネイア（古希: Μαντίνεια）は、ペロポネソス半島のアルカディア地方に存在した古代都市国家（ポリス）です。その歴史は、数々の戦いと政治的変動に彩られています。現代ではギリシア共和国アルカディア県の一部であり、トリポリ市に含まれています。

歴史

紀元前500年頃、周辺の5つの集落が統合（シュノイキスモス）されることでマンティネイアは成立し、民主政を採用しました。都市の名前は、リュカオンの子であるマンティネウスに由来するとされています。

成立後、マンティネイアはスパルタと友好関係を築き、隣接するテゲアと対立しました。ペロポネソス戦争中の紀元前420年には、アテナイ、アルゴス、エリスと同盟を結び、スパルタと敵対するようになります。この対立は、紀元前418年の第一次マンティネイアの戦いへと発展し、同盟軍はスパルタ軍に敗北を喫しました。

紀元前385年、マンティネイアはスパルタ軍に包囲され、降伏を余儀なくされます。スパルタは、都市の解体（ディオイキスモス）を強制し、マンティネイアは一時的にその姿を消しました。

しかし、紀元前371年にテバイがレウクトラの戦いでスパルタに勝利すると、翌紀元前370年にはテバイによってマンティネイアは再建されます。しかし、市民はテバイの勢力を恐れ、スパルタとの同盟を選択しました。紀元前362年には、第二次マンティネイアの戦いが起こり、スパルタはテバイに再び敗北。この戦いでは、テバイの名将エパメイノンダスが命を落としました。

ヘレニズム時代に入ると、マンティネイアはアカイア同盟に加盟し、スパルタと対立するようになります。しかし、同盟内での裏切り行為が度重なったため、紀元前223年には、シキュオンのアラトスによって市民の処刑や奴隷化が行われ、都市の名前もアラトスの支援者であるアンティゴノス3世にちなんで「アンティゴネイア」と改名させられました。

紀元前207年、第三次マンティネイアの戦いが起こり、ピロポイメン率いるアカイア同盟軍が、マカニダス率いるスパルタ軍に勝利しました。

ローマ帝国時代には、ハドリアヌス帝によるギリシア文化復興の一環として、125年に都市の名前が「マンティネイア」に戻されました。パウサニアスの『ギリシア案内記』には、当時のマンティネイアの様子が記録されています。市内には、アルカスの遺骨が保存され、ゼウスをはじめとする様々な神々の神殿や、ハドリアヌス帝が寵愛した美少年アンティノウスの神殿が存在しました。

現代において、マンティネイアはギリシア共和国のトリポリ市やネスタニ市付近に位置します。「トリポリ」という名前は、かつてこの地域にマンティネイア、テゲア、パランティオンの三つのポリスが存在したことに由来します。遺跡としては、市壁や塔門の基礎、アゴラや劇場の一部が現在も残っています。また、アテネ国立考古学博物館には、マンティネイアで出土した「Mantineia Base」が所蔵されています。さらに、マンティネイアは保護原産地呼称を持つギリシアワインの名産地としても知られています。

出身者

ディオティマ - プラトン『饗宴』に登場する女性哲学者。

外部リンク

マンティネイア - コトバンク

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