マンリー・バルザーエンジン

マンリー・バルザーによる航空用エンジンの歴史

マンリー・バルザーが設計した航空用エンジンは、アメリカにおける初の有人動力付き固定翼機の開発において重要な役割を果たしました。彼は、サミュエル・ラングレーの下で、当時の技術を駆使して軽量かつ高出力なエンジンを目指しました。このエンジンの開発は1900年代初頭に遡り、様々な試行錯誤を伴いました。最初の試みは、無人機エアロドロームにおいて成功を収めましたが、有人機の試験では思わぬ失敗に終わりました。

開発の背景

1898年、ラングレーは有人飛行を実現する活動を始めます。当初、エアロドロームの推進力を確保するためには軽量で高出力の内燃機関が必要でした。この頃、ガソリンを燃料とする内燃機関が新たに登場したばかりであり、その中からステファン・バルザーと接触し、エンジンの開発を依頼することになります。

バルザーは、ハンガリーからの移民で、当時すでに機械設計の技術を持っていました。彼は3気筒の回転式エンジンを設計し、1894年にはニューヨークで最初の4輪自動車を動かすことに成功しました。しかし、ラングレーの要求する出力には届かず、バルザーは自らの設計を改良し続けることを決意します。彼は最初の設計を基に、シリンダーの数を増やし、より大きなエンジンを目指しましたが、最終的には彼のエンジンを引き渡すことは叶いませんでした。

マンリーの改良

バルザーの後、ラングレーの助手であったチャールズ・マンリーが彼の設計に関わることになります。マンリーは、エンジンの静止型星型エンジンへの改良を行い、これが後に成功へとつながります。この改良では、エンジンの冷却に水冷方式を採用し、出力を大幅に向上させることに成功しました。1901年には、無人のエアロドロームでの飛行試験が行われ、予定通り成功を収めました。

有人飛行への挑戦

この成功を受けて、マンリーはさらに性能向上を自らの目標に掲げました。彼は無人機のエンジンをスケールアップし、重量120ポンド、出力52hpのエンジンを完成させました。このエンジンは、その当時の技術としては優れたパワーウェイトレシオを誇っていました。1903年にエアロドロームに取り付けられ、テスト飛行が行われたものの、結果は派手に墜落してしまいました。ラングレー自身もこの点で問題を抱えており、エンジンと機体の設計に関してさらなる改善が求められました。

再挑戦と成功

後に航空のパイオニア、グレン・カーチスが登場します。彼はラングレーのエアロドロームを復元し、再度の飛行試験を行いました。新たに強化された機体は、当時のエンジンを利用して成功を収め、これによりマンリーが設計したエンジンが実際に機能することが証明されました。

結論

数年後、マンリーはスミソニアン研究所から依頼を受けてこのエンジンに関する論文を執筆しましたが、バルザーの貢献については過小評価される結果となりました。初期の航空用エンジンの歴史には、多くの試行錯誤や困難が伴ったことが示されています。バルザーとマンリーが共に努力した結果、このエンジンはその後のエンジンデザインに影響を及ぼし、航空技術の発展に寄与したのです。

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