ミクロビオテリウム目

ミクロビオテリウム目について

ミクロビオテリウム目（Microbiotheria）は、哺乳類の中で有袋類に分類される目の一つです。この目には、現在生きているミクロビオテリウム科のチロエオポッサムと、既に絶滅したWoodburnodontidae科が含まれています。現代に存在する種類はチロエオポッサムだけですが、多くの化石付きの種が南アメリカや西南極、オーストラリア北部で発見されています。

かつてはこの目がオポッサム類の近縁とされていましたが、解剖学や分子系統学的な研究により、実際にはオーストラリアの有袋類に近いことが判明しました。ミクロビオテリウム目は、オーストラリアの有袋類と共に「オーストラリア有袋類（Australidelphia）」を構成しますが、初期の進化過程がゴンドワナ大陸、特に南アメリカ大陸で行われたと考えられています。

生物地理学と化石の発見

この目の最古の記録は、Khasia cordillerensisという種で、ボリビアの暁新世初期に属する化石から歯の断片が発見されています。暁新世から新第三紀にかけての南アメリカ大陸の化石サイトからは、多様なミクロビオテリウム類の属が確認されています。

西南極ではシーモア島の始新世中期層から、ミクロビオテリウム類と推測される歯の化石も見つかっています。また、オーストラリア北西部の始新世からも未記載のミクロビオテリウム類の化石が報告されており、これは有袋類の進化および生物地理学の理解に重要な示唆を与えます。

現在のチロエオポッサムは、初期の段階において南アメリカに留まった系統の子孫とされていますが、他の系統はゴンドワナ大陸がつながっていた時代に、南アメリカから南極経由でオーストラリアに移動したと考えられています。この考え方は、当時の環境や地理的条件を理解する上で非常に重要です。

まとめ

ミクロビオテリウム目は、オーストラリアにおける有袋類の多様性を考える際に欠かせない存在です。化石記録から見えてくるこの目の進化の過程は、生物の地理的移動とその適応の歴史を探るための手がかりを提供してくれます。これからの研究によって、さらに多くの未知の種や進化的背景が解明されることが期待されます。

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