ミッドウェイ (1976年の映画)

映画『ミッドウェイ』の詳細解説

作品概要

1976年にアメリカで制作された映画『ミッドウェイ』（原題: Midway）は、太平洋戦争のターニングポイントとなったミッドウェー海戦を題材とした戦争映画です。アメリカ建国200周年を記念して製作され、チャールトン・ヘストン、ヘンリー・フォンダなど、ハリウッドを代表する豪華スターが多数出演しています。また、日本人俳優として三船敏郎が山本五十六役を演じていることも特筆すべき点です。

ストーリー

映画は、1942年4月18日のドーリットル空襲から始まります。東京などの主要都市が奇襲を受け、日本軍は大きな衝撃を受けます。山本五十六は、真珠湾攻撃で取り逃がしたアメリカの空母を撃滅し、ミッドウェー諸島を占領することでハワイ攻略への足掛かりとしようとMI作戦を発案します。

日本軍は、空母「赤城」「加賀」「蒼龍」「飛龍」を中心とする機動部隊を派遣しますが、アメリカ軍は日本の暗号の一部を解読しており、空母「エンタープライズ」「ホーネット」、そして珊瑚海海戦で損傷した「ヨークタウン」を応急修理し、3つの機動部隊を編成して迎撃態勢を整えます。

ミッドウェー海戦の序盤、日本軍はミッドウェー島への空襲を敢行しますが、アメリカ軍の反撃に苦戦します。その後、アメリカ機動部隊を発見した日本軍は、第二次空襲を計画しますが、その最中にアメリカ軍の急降下爆撃隊が奇襲を仕掛けます。日本軍の空母「赤城」「加賀」「蒼龍」は被弾し、大破・炎上。残された「飛龍」は反撃を試みるも、最終的に撃沈され、日本軍はミッドウェー海戦で大きな敗北を喫することになります。

キャスト

アメリカ軍

マシュー・ガース大佐：チャールトン・ヘストン
チェスター・ニミッツ大将：ヘンリー・フォンダ
レイモンド・スプルーアンス少将：グレン・フォード
フランク・J・フレッチャー少将：ロバート・ウェッバー
ジョセフ・ロシュフォート中佐：ハル・ホルブルック
トム・ガース少尉：エドワード・アルバート
ウィリアム・ハルゼー・ジュニア中将：ロバート・ミッチャム
ヴィントン・マドックス大佐：ジェームズ・コバーン
カール・ジェソップ中佐：クリフ・ロバートソン
エルネスト・ブレイク少佐：ロバート・ワグナー
ハリー・ピアソン海軍調査部少将：エド・ネルソン
クラレンス・マクラスキー少佐：クリストファー・ジョージ
ジョージ・H・ゲイJr.少尉：ケビン・ドブソン
マレー・アーノルド大尉：ダブニー・コールマン
シリル・サイマード艦長補佐：トム・セレック
マックス・レスリー中佐：モンテ・マーカム
マイルズ・ブローニング少将：ビフ・マクガイア
ジョン・ワルドロン中佐：グレン・コーベット
エリオット・バックマスター大佐：グレゴリー・ウォルコット
ラモス少尉：エリック・エストラーダ

日本軍

山本五十六大将：三船敏郎（声：ポール・フリーズ）
南雲忠一中将：ジェームズ繁田
草鹿龍之介少将：パット・モリタ
近藤信竹中将：コンラッド・ヤマ
渡辺安次中佐：クライド・クサツ
細萱戊子郎中将：デール・イシモト
山口多聞少将：ジョン・フジオカ
友永丈市大尉：サブ・シモノ
栗田健男中将：ジム・イシダ
源田実中佐：ロバート・イトー
青木泰二郎大佐・空母 赤城 艦長：ベネット・オータ

その他

佐倉春子：クリスティナ・コクボ
オーブリー・フィッチ少将：ミッチェル・ライアン
アン：スーザン・サリバン

制作の背景

この映画は、アメリカ建国200周年を記念して製作されました。監督は当初ジョン・ギラーミンが予定されていましたが、最終的にはジャック・スマイトが担当しました。主演のチャールトン・ヘストンは、『オーメン』の出演依頼を断って本作を選んだというエピソードもあります。

戦闘シーンの多くは、戦時中のニュースフィルムや過去の戦争映画からの流用で構成されており、当時の技術では再現が難しかった戦闘場面を迫力満点に描いています。特に、東宝制作の日本映画『ハワイ・ミッドウェイ大海空戦 太平洋の嵐』などからの流用が多数見られます。

音響面では、センサラウンドという特殊技術が使用され、臨場感を高めています。作品のラストに流れる音楽は、オリジナルとして制作されました。

日本語吹替版

劇場公開時には、「日本軍が英語で会話するのは不自然だ」という意見から、三船敏郎を含む日本人キャストの台詞のみ日本語吹替が行われました。翻訳は戦史研究家の吉田俊雄が担当しました。テレビ放映時には、劇場公開版にはない44分の映像が追加されたバージョンも放送されました。

その他

エンディング曲には、勇壮な「END TITLE:MIDWAY MARCH」と格調高い「MEM OF THE YORKTOWN MARCH」の2種類が存在し、どちらが使用されるかはメディアや放送によって異なります。

劇中に登場する戦艦「大和」は、実際には映画『トラ・トラ・トラ!』で使われた「長門」の映像の流用であり、日本軍の艦艇シーンは過去の日本映画の特撮シーンが多数用いられています。

事実との相違

映画には、史実と異なる描写がいくつか見られます。

日本軍の艦載機は、T-6テキサンやBT-13 ヴァリアントを改造したものが使用されています。
アメリカ軍の空母艦載機のシーンでは、実際には配備されていなかったF6FやTBF、SB2Cが登場します。
99艦爆の迷彩や、友永隊による雷撃シーンなど、史実と異なる描写がいくつか見られます。
空母の描写では、ヨークタウン級の映像の他に、エセックス級が現用空母を代用して使用されています。


また、DVD版に収録された日本語字幕には、軍事用語の誤訳が多数見られます。例えば、攻撃機の機数を「隻」と表示したり、「Torpedo Pilot」を「魚雷艇操縦士」と表記するなど、不正確な翻訳が目立ちます。

まとめ

映画『ミッドウェイ』は、太平洋戦争におけるミッドウェー海戦を迫力満点に描いた戦争映画です。豪華キャストや過去の映像流用、特殊な音響技術などが組み合わさり、観客を戦場へと引き込みます。史実との相違点や誤訳なども存在しますが、エンターテイメント作品として楽しめる作品です。

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