ロバート・ウェッバー

ロバート・ウェッバー(1924年10月14日-1989年5月19日)は、アメリカ合衆国を代表する実力派俳優の一人です。182センチの長身と端正な顔立ち、そして確かな演技力で、数多くの映画やテレビドラマに彩りを添えました。

ウェッバーのキャリアは1940年代後半に遡ります。映画出演と並行してブロードウェイ舞台にも立っていましたが、1950年代には低予算の犯罪映画などで主演を務め、徐々に頭角を現し始めました。しかし、彼の名を世に知らしめたのは、1957年のシドニー・ルメット監督による名作『十二人の怒れる男』での重要な役どころです。この作品での印象的な演技が、彼の俳優としての地位を確固たるものにしました。

1960年代に入ると、ハリウッドの大作映画にも出演するようになり、生真面目ながらもどこか堅物で、誠実な人物像を演じることが多くなりました。ヴィンセント・ミネリ監督の『いそしぎ』(1965年)、ジャック・スマイト監督の『動く標的』(1966年)、そしてロバート・オルドリッチ監督の大ヒット戦争映画『特攻大作戦』(1967年)など、数々の名作に重要な脇役として出演し、その存在感は見る者を魅了しました。この時代はまさに彼のキャリアの絶頂期であり、性格俳優としての地位を確立したと言えるでしょう。

この時期、ウェッバーはイタリア映画にも出演しています。1966年のイタリア映画『殺しのテクニック』では、ニヒルな殺し屋を演じ、大きな成功を収めました。この役柄は彼の代表作の一つとなり、翌年には『捜査網せばまる』にも出演しましたが、その後は1970年代後半までイタリア映画への出演はありませんでした。『殺しのテクニック』での好演は、ディーン・マーティン主演のスパイコメディ『サイレンサー/沈黙部隊』(1966年)での殺し屋役への出演に繋がったというエピソードもあります。さらに、フランス映画『マダム・クロード』(1977年)にも出演するなど、国際的な活躍も見せています。

1970年代に入ると、ウェッバーの演技の幅はさらに広がりました。『殺しのテクニック』で見せたニヒルな魅力に加え、サム・ペキンパー監督の『ガルシアの首』(1974年)では、女性を平気で殴るゲイの殺し屋という、ハードで粗暴な役柄を見事に演じきりました。一方、『ミッドウェイ』(1976年)のようなスター俳優を起用した大作映画にも出演するなど、その活動は多岐に渡ります。

しかし、ウェッバーの魅力は硬派な役柄だけではありませんでした。『現金作戦』(1966年)、『サンタモニカの週末』(1967年)、『バンクジャック』(1972年)、『プライベート・ベンジャミン』(1980年)など、数々のコメディ映画にも出演し、コミカルな演技で観客を笑わせました。ブレーク・エドワーズ監督の『ピンク・パンサー4』(1978年)では、自身のキャラクターをパロディ化したような演技を披露し、その高い演技力を改めて示しました。また、オルドリッチ監督作品『クワイヤボーイズ』(1977年)では、スター俳優でありながら端役に甘んじ、作品への貢献を優先した姿勢も印象的です。

1980年代に入ると、テレビ映画への出演が増え、『スターフライト・ワン』(1982年)など、日本でも紹介された作品があります。また、リチャード・ブルックス監督の報道風刺劇『シークレット・レンズ』(1982年)では、レスリー・ニールセン、ヘンリー・シルヴァといったベテラン俳優たちと共演し、その高い演技力を再確認させました。

40年近くに及ぶ彼のキャリアにおいて、テレビシリーズへのゲスト出演も数多く、『ライフルマン』、『ルート66』、『スパイ大作戦』、『鬼警部アイアンサイド』、『刑事コジャック』、『こちらブルームーン探偵社』など、数えきれないほどの作品に出演し、多くの視聴者の記憶に残る演技を披露し続けました。ウェッバーの多彩な演技力と存在感は、長きに渡り人々を魅了し続けた、まさに映画史に名を刻むべき俳優と言えるでしょう。

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