ミドルセックス・ギルドホール

ミドルセックス・ギルドホール：歴史と変遷

ロンドンのパーラメント・スクエア南西角に位置するミドルセックス・ギルドホールは、イギリスの司法史を語る上で重要な建造物です。現在、連合王国最高裁判所と枢密院司法委員会が置かれるこの建物は、その歴史と建築様式、そして改修を巡る論争を含め、多くの魅力を秘めています。

建物の歴史：ウェストミンスターからミドルセックスへ

この地の歴史は古く、元々はウェストミンスター寺院の鐘楼があった場所でした。最初のギルドホールは、ウェストミンスターのリバティの司法官のために建設され、「ウェストミンスター・セッションズ・ハウス」として1805年に開場しました。その後、1889年にウェストミンスターがロンドン・カウンティの一部となると、ミドルセックスに所有権が移転し、ミドルセックス・カウンティ議会の行政本部や会議場、司法の場として利用されるようになりました。

しかし、ミドルセックス・カウンティの行政ニーズの拡大に伴い、最初のギルドホールでは手狭になったため、1893年にはネオチューダー様式の2代目のギルドホールが建設されました。それでもなお、行政と司法の需要を満たすには不十分であり、現在の3代目のギドルホール建設に至ります。

3代目のギルドホールは、1906年から1913年にかけてJ・S・ギブソンによって設計・建設されました。ニコラウス・ペヴズナーが「アールヌーボー・ゴシック」と評したその建築様式は、セグメント・アーチの窓、装飾的なアーチ型の扉、そして塔が特徴的です。地下には、17世紀のドアが使用されているなど、歴史的要素も取り入れられています。また、ヘンリー・チャールズ・フェールによる中世風のガーゴイルなどの建築彫刻も建物に華を添えています。

ミドルセックス・カウンティ議会とミドルセックス・セッションが廃止された後、四季裁判所、そして刑事法院として使用されてきました。

最高裁判所への変貌と改修

2005年憲法改革法により、2007年に改装工事が行われ、2009年10月1日に連合王国最高裁判所として新たな歴史を刻み始めました。しかし、この改修は容易ではありませんでした。政府はミドルセックス・ギルドホールを最高裁判所の所在地に選定しましたが、改修には多大な作業が必要だったのです。

改修を巡る論争

改修計画はフェイルデン+モウソンLLCが策定し、フォスター・アンド・パートナーズが協力しました。しかし、第二*級指定建造物であるこの歴史的建造物の改修計画は、史跡保全団体から懸念の声が上がりました。イングリッシュ・ヘリテッジは、元の法廷の内装の重要性を声明で発表するなど、改修計画への反対意見は少なくありませんでした。SAVEブリテンズ・ヘリテッジは、改修工事差し止めを求める訴訟を起こしましたが、残念ながら失敗に終わっています。

結び

ミドルセックス・ギルドホールは、その歴史的背景、建築的魅力、そして改修を巡る論争を通して、イギリスの司法制度と建築史において重要な位置を占めています。現在も連合王国最高裁判所として重要な役割を果たしているこの建物は、今後も人々の関心を集め続けることでしょう。

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