ミャンマーの国旗

ミャンマーの国旗は、水平に並んだ黄色、緑色、赤色の三色の帯の上に、大きな白い星が描かれたデザインです。この国旗は、2010年10月21日に軍事政権下で制定されました。

黄色の帯は国民の団結、緑色の帯は平和と豊かな自然環境、赤色の帯は勇気と決断力を象徴しています。そして、三色の帯にまたがる白い星は、ミャンマーの地理的、民族的一体性を表しています。

この三色旗のデザインは、第二次世界大戦中に日本が建国したビルマ国（現在のミャンマー）の国旗と似ています。しかし、ビルマ国の国旗の中央には、白い星ではなく、コンバウン朝の印章である緑色の孔雀が描かれていました。また、ミャンマーの少数民族であるシャン族の州であるシャン州の州旗も、黄緑赤の三色地に白い丸という、ミャンマー国旗と似た配色デザインとなっています。

一方、ミャンマーの独立当初（1948年～1974年）の国旗は、青地に大きな白い星とそれを囲む5つの小さな白い星が描かれたデザインでした。大きな白い星はビルマ諸民族の団結を、周囲の5つの小さな白い星は国内の主要な5つの民族を表していました。この国旗の色は、白が純潔、青が平和と誠実、赤が勇気と団結を象徴していました。このデザインは、縦横比こそ違えど、中華民国の国旗と幾分似たデザインとなっています。

1974年、ネ・ウィン将軍がビルマ連邦を打倒してビルマ連邦社会主義共和国を成立させると、国旗のデザインも変更されました。赤地に青い長方形が描かれたデザインは、1948年の独立以来の国旗と大枠では変わりませんでしたが、青い長方形の中に描かれた意匠は、「歯車の上に稲穂」というデザインに変更されました。これは社会主義の象徴であり、ミャンマーの主産業である工業と農業、そしてイデオロギー的には労働者と農民を表しています。この意匠を取り囲む14個の星は、ミャンマーの7つの管区と7つの州を表すとされました。同時に、国章も歯車を加えるように変更されています。

この1974年に制定された2番目の国旗は、1988年の国家法秩序回復評議会（SLORC）によるクーデター後も、ミャンマー連邦の国旗として2010年まで使用されました。しかし、SLORCによる軍事政権は8888民主化運動を弾圧して成立し、当初公約していた1990年ミャンマー総選挙の結果に基づく民政復帰を拒否しました。このため、アウンサンスーチーやNCGUBなど、軍事政権の正当性を否定する側は、共和制時代のビルマ連邦（Union of Burma）の国旗（独立後最初の国旗）をミャンマー民主化の象徴として使用していました。

このように、ミャンマーの国旗は、その歴史と政治情勢を反映した変化を遂げてきました。現在の国旗は、ミャンマー国民の団結と平和への願いを象徴するデザインとなっています。

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