ミレ・ツルノ

ミレ・ツルノ：欧州の技巧派レスラー、日本のリングに刻んだ足跡

ミレ・ツルノ（Mile Zrno、1955年9月29日生まれ）は、クロアチア（旧ユーゴスラビア）出身の元プロレスラーです。甘いマスクと鍛え上げられた肉体、そして卓越した技巧派レスラーとして、特に女性ファンから絶大な人気を誇りました。彼のキャリアは、ヨーロッパ、そして日本という異なるプロレス文化圏にまたがる、国際的な活躍で彩られています。

ヨーロッパでのキャリア：研鑽と成功

1973年、18歳でプロレスラーとしてデビューしたツルノは、スイスのレネ・ラサルテスやベルギーのチャールズ・フェルフルスト（ジョニー・ロンドス）といったベテランレスラーから指導を受け、着実にスキルを磨いていきました。ドイツを主な活動拠点とし、1978年にはアントニオ猪木が招聘された欧州世界選手権シリーズにも出場。藤原喜明との激戦を繰り広げ、ヨーロッパでの知名度を上げていきます。

1979年には、WWU（ワールド・レスリング・ユニオン）のジュニアヘビー級王者として来日。国際プロレスの後楽園ホール大会で阿修羅・原に挑戦するも敗れ王座から陥落しますが、この来日が彼の日本におけるキャリアの始まりとなりました。

1980年代に入ると、オットー・ワンツが主宰するCWA（キャッチ・レスリング・アソシエーション）を主戦場に活躍。CWA World Catch Cupでは、ムース・モロウスキー、エイドリアン・ストリートなど、ヘビー級の強豪たちと渡り合いました。1981年には新日本プロレスにも初参戦予定でしたが、ビザの問題で出場が叶わず、覆面レスラーのシルバー・ハリケーンとして1試合のみ出場しました。翌年には素顔に戻り、タイガーマスクに挑戦するなど、日本マットでの存在感を示しました。さらに、1985年には第1次UWFにも参戦し、ディーン・ソルコフを破るなど活躍を見せました。

CWAでは、1987年にスティーブ・ライトを破りCWA世界ミドル級王座を獲得。1988年にはトニー・セント・クレアーとタッグを組み、CWA世界タッグ王座初代王者に輝きました。ブル・パワーこと後のビッグバン・ベイダーとも対戦経験があり、ヨーロッパのトップレスラーとしての実力を証明しています。

日本のレスラーへの影響：技と精神

ツルノは、日本での活躍だけでなく、日本のプロレスラーへの影響も与えています。1989年にヨーロッパ遠征から帰国した船木優治が、ツルノから伝授されたアンクルホールドを披露したことで、日本において再び彼の名前が注目を集めました。船木は、ツルノのアンクルホールドはイギリスのビリー・ライレー・ジムの伝統を汲むものだと語っています。

1990年代に入っても、CWAを中心に活動を続け、ランボー、クリス・ベノワ、オーエン・ハート、ランス・ストームといったカナダのトップレスラーや、新日本プロレスの若手選手である野上彰、飯塚孝之、山本広吉らとも対戦。1998年には、IWWのワンナイト・トーナメントに出場し、決勝で西村修に敗れています。

引退後

キャリア晩年はベルリンのVDBなどの団体にスポット参戦した後、2005年に現役を引退し、クロアチアに帰国したと伝えられています。

得意技と獲得タイトル

ツルノの得意技は、スープレックス、ドロップキック、ヘッドシザーズ・ホイップ、ローリング・クラッチ・ホールド、アンクル・ホールド、脇固め、ヨーロピアン・アッパー・カットなど多岐に渡ります。獲得タイトルとしては、WWU世界ジュニアヘビー級王座、CWA世界ミドル級王座、CWA世界タッグ王座があります。

まとめ

ミレ・ツルノは、ヨーロッパを拠点に活躍しながらも、日本のプロレス界にも大きな足跡を残したレスラーです。彼の技量、そして国際的な活躍は、プロレス史に燦然と輝くものです。彼の存在は、ヨーロッパと日本のプロレス文化交流の歴史においても重要な位置を占めていると言えるでしょう。彼の活躍は、多くのファンに今も語り継がれています。

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