ムニンアオガンピ

ムニンアオガンピ（無人青雁皮、学名：Wikstroemia pseudoretusa）は、ジンチョウゲ科アオガンピ属に分類される常緑性の低木です。別名として、オガサワラガンピ（小笠原雁皮）とも呼ばれています。

特徴

樹高は通常0.5メートルから2メートル程度に成長しますが、生育環境によっては2メートルを超える個体も存在します。枝はよく分岐し、若い枝には淡褐色の毛が密生しています。この毛は、2年から3年ほど残存するのが特徴です。幹の樹皮は紫褐色を帯び、縦方向に細かな筋が入ります。

葉はほぼ無柄で、枝に対生して密集する傾向があります。葉身は長さ1.5センチメートルから10センチメートル、幅1センチメートルから4センチメートルで、楕円状の倒卵形または長楕円形をしています。葉の先端は丸く、わずかにへこむこともあります。基部はくさび形をしています。葉の縁は全縁で、表面は緑色、裏面はやや淡い色をしています。葉脈は7対から9対が目立ちます。

花期は主に7月から9月で、茎の先に筒状の黄色い花を4個から8個咲かせます。花のように見える萼筒は長さ6ミリメートルから7ミリメートル、花弁に見える萼裂片は4つに分かれ、長さ3ミリメートルから4ミリメートルになります。雄しべは8本あり、萼筒の内側に付着しています。子房には短い柄があり、柱頭は小さいです。果実は液果で、長さ5ミリメートルから7ミリメートルの卵形をしています。赤く熟し、光沢があり、まばらに長毛が生えています。

ムニンアオガンピは雌雄異株であり、雌花には葯の痕跡があるものの花粉は作られません。一方、雄花には雌しべがありますが、柱頭がなく、結実することもありません。

分布と生育環境

ムニンアオガンピは、小笠原諸島の固有種です。父島列島と母島列島に分布しており、尾根付近のやや乾燥した日当たりの良い場所や、岩礫地に生育しています。

和名の「ムニンアオガンピ（無人青雁皮）」は、小笠原諸島の古い呼び名である「無人島（ムニンジマ）」に産することに由来しています。

ギャラリー

[ギャラリーの画像は省略]

保全状況評価

環境省のレッドリストにおいて、準絶滅危惧（NT）に指定されています。2000年のレッドデータブックでは、絶滅危惧II類（VU）に分類されていました。

脚注

[脚注の内容は省略]

参考文献

佐竹義輔他編『日本の野生植物 木本II』、1989年、平凡社
牧野富太郎原著、大橋広好・邑田仁・岩槻邦男編『新牧野日本植物圖鑑』、2008年、北隆館
* 米倉浩司・梶田忠 (2003-)「BG Plants 和名−学名インデックス」（YList）

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