ムラサキシジミ

ムラサキシジミ（紫小灰蝶）

ムラサキシジミ（学名: Narathura japonica）は、チョウ目シジミチョウ科に分類されるチョウの一種です。その名の通り、翅の美しい青紫色が特徴的で、日本の暖地に生息しています。

特徴

成虫の開張は30〜40mm程度で、翅の表面は鮮やかな青紫色を帯びています。翅の縁は黒褐色で彩られ、このコントラストがムラサキシジミの美しさを際立たせています。

成虫は年に3〜4回発生し、6月から翌年の3月にかけて見られます。成虫で越冬するという特徴を持ち、平地の林やその周辺を主な生息場所としています。花を訪れることはあまりなく、成虫が主に何を摂取しているかは明確にはわかっていません。

幼虫は、アラカシ、イチイガシ、スダジイなどのブナ科の常緑樹を食草とします。これらの樹木が少ない場所では、クヌギやコナラなどのブナ科落葉樹も食べます。幼虫は成長すると、若葉を綴り合わせて巣を作るようになります。また、蜜を分泌してアリを誘引し、共生関係を築くことも知られています。特にアミメアリは、ムラサキシジミの幼虫が分泌する蜜によって脳内のドーパミン量が低下し、攻撃性が増して幼虫を護衛すると言われています。蛹化は、地上の落葉の中などで行われます。

分布

ムラサキシジミは暖地性のチョウで、日本では宮城県から沖縄県にかけて分布しています。国外では、台湾や中国西部などにも生息しています。

その他

ムラサキシジミは、その美しい翅の色や、アリと共生するというユニークな生態から、多くの人に親しまれているチョウです。観察の際には、生息地である林やその周辺の環境に配慮し、そっと見守ることが大切です。

参考文献

猪又敏男編・解説、松本克臣写真『蝶』山と溪谷社〈新装版山溪フィールドブックス〉、2006年、141頁。ISBN 4-635-06062-4。

関連項目

ムラサキツバメ (蝶)

外部リンク

Arhopala japonica - National Center for Biotechnology Information（NCBI） （英語）
Arhopala japonica (Murray, 1875) - Encyclopedia of Life （英語）

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