ムーンライトクラウド

ムーンライトクラウドは、イギリスで生まれ、フランスで調教された競走馬です。2011年から2013年にかけてモーリス・ド・ゲスト賞を3連覇するなど、フランスの競馬界で大きな成功を収めました。

競走馬としてのキャリアは2歳8月のデビュー戦から始まりました。デビュー2連勝の勢いをそのままに、最初のG1レースであるジャン・リュック・ラガルデール賞に挑戦しましたが、4着に終わります。3歳になると、アンプルダンス賞で重賞初勝利を挙げ、勢いに乗ってイギリスの英1000ギニーに挑戦するも7着と結果を残せませんでした。

その後、フランスに戻り、ポルトマイヨ賞で騎手ティエリ・ジャルネとコンビを組みます。このコンビはムーンライトクラウドが引退するまで続きます。そして迎えたモーリス・ド・ゲスト賞でG1初制覇を成し遂げます。勢いに乗って英チャンピオンズスプリントステークスに挑戦しましたが、5着に終わりました。

4歳シーズンは、パレ・ロワイヤル賞を制してスタートを切ります。そして、3度目のイギリス遠征となるダイヤモンドジュビリーステークスでは、当時21連勝中のオーストラリアの無敗馬ブラックキャビアと激しく競り合い、惜しくもアタマ差で2着となりました。このレースはムーンライトクラウドの粘り強さを示す象徴的なレースとなりました。同年8月にはモーリス・ド・ゲスト賞で連覇を果たし、続くジャック・ル・マロワ賞にも挑みましたが、4着に終わりました。しかし、その後のムーラン・ド・ロンシャン賞では見事勝利し、初のマイルG1制覇を飾りました。

5歳シーズンは7月から始動し、モーリス・ド・ゲスト賞とジャック・ル・マロワ賞を連闘しました。モーリス・ド・ゲスト賞ではレコード勝ちで3連覇を達成し、ジャック・ル・マロワ賞では僅差で勝利を収め、両レース制覇という偉業を成し遂げました。さらに、初挑戦となったフォレ賞でも優勝し、G1勝利数を6つに伸ばしました。この短距離G1 3連勝の活躍が評価され、同年11月にはドイツのノヴェリストを抑え、カルティエ賞最優秀古馬に選出されました。

引退レースには香港マイルが選ばれましたが、6着に終わりました。フランス国内では圧倒的な強さを見せ、6つのG1タイトルを獲得しましたが、海外遠征では5戦未勝利と、その実力の一端が明らかになったと言えるでしょう。

引退後は、アイルランドで繁殖牝馬として生活を送っています。ムーンライトクラウドの所有者であるジョージ・ストローブリッジとクールモアグループが共同で所有する産駒は、今後の競馬界に貢献する存在となることが期待されます。

ムーンライトクラウドの母系には、1991年のヨーロッパ年度代表馬ジェネラスや日本で重賞2勝を挙げたオースミタイクーンといった名馬が名を連ねています。また、2016年の皐月賞優勝馬ディーマジェスティも近親に存在します。その血統背景からも、ムーンライトクラウドの才能は予見できたと言えるかもしれません。

ムーンライトクラウドは、フランス競馬史にその名を刻んだ偉大な競走馬として、これからも長く語り継がれていくことでしょう。その強さと気品は、多くの競馬ファンの記憶に深く刻まれています。

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