メアリー・ビアード

ウィニフレッド・メアリー・ビアード：古典研究の第一人者、その業績と人物像

デイム・ウィニフレッド・メアリー・ビアード（Dame Winifred Mary Beard, 1955年1月1日 - ）は、イギリスの西洋古典学者、歴史学者、そしてフェミニストとして知られています。彼女の著作は世界的なベストセラーとなり、その知性と発言は多くの人々に影響を与えています。

生い立ちと学問

1955年、シュロップシャーの中流家庭に生まれたビアードは、ケンブリッジ大学ニューナム・カレッジで古典学を専攻し、博士号を取得しました。その後、同大学で教鞭をとり、古典学者としてのキャリアをスタートさせました。1992年には、タイムス文芸付録の古典文学編集者に就任し、古典研究の普及に貢献。2004年にはケンブリッジ大学古典学教授に就任し、2022年に退職するまで、後進の育成に尽力しました。

多彩な活動と社会への影響

ビアードは「イギリスで最も有名な古典学者の一人」と評されており、BBCやチャンネル4などのメディアにも度々出演しています。歴史ドキュメンタリーから教育番組まで幅広く携わり、『Meet the Romans with Mary Beard』などの冠番組も持つなど、古典研究を一般の人々にも親しみやすいものにしています。2019年には『グランド・ツアー』に出演し、ジェームズ・メイと対談するなど、その活動は多岐にわたります。

ビアードは労働党員、フェミニスト、反人種主義者を自認しており、9・11テロ、移民問題、＃MeToo運動、オックスファム騒動など、政治や社会問題についても積極的に発言しています。その率直な意見は、時に賛否両論を巻き起こしますが、常に問題提起をすることを恐れません。

ミソジニーとの闘い

メディアへの露出が多いビアードは、ミソジニー的な中傷に晒されることも少なくありません。容姿に対する批判に対して、「ボトックスや白髪染めばかりが女性の道ではないと子供たちに示すべき」と反論するなど、毅然とした態度で応えています。ブログやTwitterなどのインターネット上でも積極的に発言しており、中傷者との対話も試みています。しかし、爆破予告を受けた際には警察沙汰になるなど、その活動は決して平坦ではありません。

受賞歴と著作

ビアードは数々の栄誉に輝いています。ロンドン好古家協会会員、ウルフソン歴史学賞、アメリカ考古学研究所準会員、イギリス学士院会員、アメリカ芸術科学アカデミー会員、アメリカ哲学協会会員などを歴任。大英帝国勲章、全米批評家協会賞、ロイヤル・アカデミー・オブ・アーツ教授、セント・アンドルーズ大学名誉学位、ボドリー・メダル、アストゥリアス皇太子賞なども受賞しています。

彼女の著作の中でも特に有名なのは、『SPQR ローマ帝国史』と『舌を抜かれる女たち』です。『SPQR ローマ帝国史』はハードカバーの歴史書としては異例のベストセラーとなり、ニューヨーク・タイムズのベストセラーリストにも掲載されました。『舌を抜かれる女たち』も同様にベストセラーとなり、サンデー・タイムズのベストセラー第1位、ガーディアン紙「21世紀の100冊」にも選出されています。

古典研究への情熱と社会への貢献

ウィニフレッド・メアリー・ビアードは、古典研究の第一人者として、その知識と情熱をもって多くの人々に影響を与え続けています。彼女の著作やメディア出演は、古典研究の普及に大きく貢献しており、その社会的な影響は計り知れません。また、ミソジニーに対する毅然とした態度は、多くの女性たちに勇気を与えています。ビアードの今後の活躍から目が離せません。

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