メアリー・ピーターズ (陸上選手)

メアリー・ピーターズ：北アイルランドの陸上競技の象徴

レディ・メアリー・エリザベス・ピーターズ（1939年7月6日生まれ）は、北アイルランド出身の元陸上競技選手で、特に五種競技と砲丸投において並外れた成果を上げたアスリートです。その競技人生において数々の栄光を手にし、引退後もスポーツ界への貢献を続ける彼女の軌跡が、多くの人々に愛されています。

若年期と教育

ピーターズはイングランド・リバプール近郊のヘイルウッドで生まれ、11歳のときに家族と共に北アイルランドのバリミーナへ引っ越しました。その後、さらにベルファストへと移り住むことになります。彼女のスポーツキャリアは、父親が自宅に設けた練習場でのトレーニングから始まりました。彼女は教師としても働きながら、陸上競技に取り組む姿勢を持ち続けました。

陸上競技のキャリア

ピーターズはポータダウン大学に進学し、そこで体育教師の指導を受けながら陸上競技を本格的に追求しました。1956年、彼女は大学の女子学生の代表者として名を馳せます。その後、オリンピックを含む国際大会での活躍が彼女の名声を高めました。

特に1964年の東京オリンピックや1968年のメキシコシティオリンピックでは好成績を収め、1972年のミュンヘンオリンピックでは金メダルを獲得。これが当時の世界新記録にもなりました。しかし、メダル獲得後には、IRAからと見られる殺害予告に直面する厳しい状況もありました。彼女はその後も北アイルランドに戻り、地域の人々に温かく迎えられました。この年にはBBCのスポーツ・パーソナリティ・オブ・ザ・イヤー賞を受賞し、国内の英雄的存在となりました。

コモンウェルスゲームズでも卓越したパフォーマンスを見せ、五種競技で金メダル2個、砲丸投で金メダルと銀メダルを獲得と、その成績は枚挙に暇がありません。

引退後の活動

引退後、ピーターズは2001年にアウトワード・バウンド・トラストの理事に就任しました。また、北アイルランドの若手スポーツ選手を支援するために、1975年にメアリー・ピーターズ・トラストを設立し、多くの才能あるアスリートをサポートしてきました。彼女の支援を受けた選手たちは、グレーム・マクドウェルやローリー・マキロイなどがいます。

栄誉と称号

ピーターズの功績は数多くの栄誉によって讃えられています。1973年には大英帝国勲章メンバーに叙勲され、1990年にはコマンダー、2000年にはデイム・コマンダーに昇格しました。さらに、2015年にはコンパニオン・オブ・オナー勲章、2017年には聖ジョン勲章デイムの名誉が授与され、そして2019年にはガーター勲章を受勲したことで「レディ」の称号も付与されました。

彼女の名を冠した陸上競技場「メアリー・ピーターズ・トラック」がベルファスト郊外に存在し、ここでも彼女の功績が称えられています。さらに、2009年から2014年までベルファスト総督として地域社会に貢献しました。今年も多くの人々に影響を与え続けるメアリー・ピーターズ。その人柄と功績は、多くの人々の指標であり続けることでしょう。

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