メイショウバトラー

メイショウバトラー：屈腱炎を克服した10歳馬の奇跡

メイショウバトラーは、日本の競走馬として長く記憶される一頭です。その馬名は冠名「メイショウ」と、戦士や闘士を意味する「バトラー」から名付けられました。デビューは3歳6月と遅めでしたが、持ち前の才能と粘り強さで、数々の困難を乗り越え、10歳まで現役を続けました。

華々しいデビューと重賞初制覇

2戦目のダート未勝利戦で初勝利を収めると、芝に転向。条件馬ながら秋華賞やエリザベス女王杯に挑戦するなど、積極的なレース運びで注目を集めました。2004年には、オープン入りを果たすと、続く小倉大賞典で重賞初制覇。その後も中距離路線で活躍を続けました。

屈腱炎からの復活劇

2005年には右前屈腱炎を発症し、1年間の休養を余儀なくされました。しかし、2006年の復帰戦で見事復活。プロキオンステークスを制し、その後もサマーチャンピオン、シリウスステークスと重賞3連勝を達成しました。JBCマイルでは2着と健闘するも、ジャパンカップダートでは苦戦しました。

8歳、9歳での交流重賞制覇

2007年にはかきつばた記念、さきたま杯、スパーキングレディーカップ、クラスターカップと重賞4連勝を飾り、再び脚光を浴びます。2008年には8歳牝馬として史上初となる交流重賞マリーンカップを制覇し、衰え知らずの活躍ぶりを証明しました。2009年には、9歳牝馬として史上初となるマリーンカップ2連覇を達成するなど、驚異的な記録を打ち立てました。

10歳での現役続行と繁殖牝馬へ

10歳となった2010年も現役を続け、様々なレースに挑戦しました。しかし、同年を最後に競走馬を引退。北海道新ひだか町の三木田明仁牧場で繁殖牝馬として第二のキャリアをスタートさせました。初年度はメイショウボーラーとの間に牝馬を出産。その後、メイショウサムソン、エンパイアメーカー、サウスヴィグラスとの間に産駒が誕生しました。2017年3月20日、キズナとの間に産駒を出産するも、翌日に急死。17歳でした。その死因は、出産が原因であったと伝えられています。

数々のエピソード

メイショウバトラーは、数々のエピソードを残しています。2004年の小倉記念では2着に敗れましたが、同馬主のメイショウカイドウが優勝。2006年のサマーチャンピオンでは、同馬主のメイショウボーラーを2着に抑え、松本好雄オーナーによる1-2フィニッシュを達成しました。また、夏の暑さに強く「夏女」として知られ、盛夏に出走したレースでは好成績を残しました。10歳まで現役を続けたのは、管理調教師である高橋成忠氏の意向によるものでした。さらに、母エミネントシチーの初仔であるエスポワールシチーと対戦した珍しい経験も持ちます。

血統と未来

メイショウバトラーの父はメイショウホムラ、母はメイショウハゴロモです。祖母（父の母）はメイショウスキー、祖母（母の母）はメイショウエンゼル。いずれも松本好雄オーナー所有馬であり、高橋成忠厩舎に所属していました。その血統背景も、メイショウバトラーの活躍を支えたと言えるでしょう。

メイショウバトラーは、競走馬としてだけでなく、繁殖牝馬としてもその遺伝子を後世に残しました。その短いながらも輝かしい生涯は、多くの競馬ファンに感動と勇気を与え続けています。屈腱炎を克服し、10歳まで現役を続けた彼女の物語は、これからも語り継がれていくでしょう。

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