メジロザメ科

メジロザメ科：多様なサメたちの世界

メジロザメ科(Carcharhinidae)は、世界中の暖かい海に生息するサメの仲間です。沿岸部を好む種類もいれば、外洋を回遊する種類もいます。オオメジロザメのように、汽水域や淡水にまで進出する種類も存在します。

メジロザメ科の特徴

メジロザメ科のサメは、丸い目を持ち、胸びれの付け根に1つか2つの鰓裂があります。ほとんどの種類は胎生で、生まれたときからほぼ完全に成長した姿をしています。その大きさは種類によって異なり、小型の種類では全長69cmほどですが、大型の種類では4メートルに達するものもいます。

胸びれの形状は、効率的な遊泳に役立っていると考えられています。雌は海中に化学物質を放出し、雄に交尾の意思を伝えます。繁殖期は春から秋にかけてです。

人間との関わり

メジロザメ科の中には、人間を襲う種類も含まれます。特にオオメジロザメは危険性が高く、多くの襲撃事例が報告されています。ホホジロザメやイタチザメと並んで、人的被害件数の多いサメとして知られています。ただし、襲撃記録の正確性には限界があることも留意すべきです。

名称と分類

英名「Requiem shark」の語源は諸説ありますが、フランス語の「requin（サメ）」やラテン語の「requiem（安らぎ）」などが候補として挙げられています。学名Carcharhinidaeは、ギリシャ語の「鋭い、ギザギザ」と「やすり」を組み合わせたもので、サメの皮膚の感触を表しています。

メジロザメ科には、約10属60種が分類されています。2023年の研究では、ツバクロザメがメジロザメ属に分類されることが示されました。代表的な属としては、メジロザメ属、ガンジスメジロザメ属、オオヒレメジロザメ属、レモンザメ属、ヨシキリザメ属などがあります。

進化

メジロザメ科最古の種は、白亜紀前期にフランスに生息していたArchaeogaleus lengadocensisです。新生代初期以前の化石記録は少ないですが、サンゴ礁の環境で多様化したと考えられています。

狩りの生態

メジロザメ科のサメは、優れた捕食者です。細長い体型で素早く泳ぎ、様々な獲物を捕食します。硬骨魚、イカ、タコ、ロブスター、カメ、海洋哺乳類、海鳥、他のサメやエイなど、その食性は多様です。

多くの種は単独で狩りをしますが、ネムリブカやレモンザメなど一部の種は群れで狩りをし、連携して獲物を捕らえます。夜行性傾向があり、優れた視力を使って獲物に忍び寄ります。ダイバーなどの接近に対しても、威嚇行動をとる場合があります。

系統

かつてイタチザメはメジロザメ科に分類されていましたが、形態や分子解析の結果から現在では別科とされています。メジロザメ科はシュモクザメ科と近縁であると考えられています。分子系統解析に基づいた系統樹からは、メジロザメ科内部の進化の歴史が明らかになりつつあります。

参考文献

Compagno, Leonard J.V. (1984). FAO species catalogue Vol.4. Sharks of the world. An annotated and illustrated catalogue of shark species known to date. Part 2. Carcharhiniformes. Rome: Food and Agriculture Organization of the United Nations. ISBN 9251013837. https://www.fao.org/3/ad123e/AD123e24.pdf

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