メフメト・エミーン・ラスールザーデ

メフメト・エミーン・ラスールザーデの生涯

メフメト・エミーン・ラスールザーデ（1884年1月31日 - 1955年3月6日）は、アゼルバイジャン民主共和国の重要な政治家および民族主義思想家として知られています。彼はロシア帝国のバクー県ノヴハヌィで生まれ、父は宗教教育を施す中流のウラマーでした。彼は家族の影響を受けて初等教育を受け、後にバクーの印刷所で植字工として働くことになります。この経験は、彼に多くの文献に触れる機会を与え、のちにジャーナリストとしての道を切り開くことになります。

ラスールザーデは、1903年にチフリスで発行されていた『シャルギ＝ルス』に執筆を行い、以降様々な新聞や雑誌に寄稿しました。1905年から1908年にかけては、ロシアの第一革命の影響を受けて積極的に政治活動にも関わるようになり、青年アゼルバイジャン人革命家委員会を創設。さらに、バクーで社会民主主義組織「ヒンメト」に参加し、ヨシフ・スターリンとも交友を持つようになります。

彼の活動は、時折抑圧に直面しました。1908年から1910年にはイランに渡り、当時の立憲革命の状況を報告するため活動をしました。この頃にはイランのデモクラート党に参加し、政治的な影響力を持つようになりましたが、親英派の政治状況により追放を受け、イスタンブールへ移ります。

イスタンブールでは、汎テュルク主義に基づく雑誌への寄稿を通じてアゼルバイジャンの独立を訴え続け、同時にロシア文学の翻訳も手掛けました。1903年のロマノフ朝300周年記念の恩赦によりバクーに戻ると、彼はミュサヴァト党に参加し、言語論争にも関与。1915年には『アチュグ・ショズ』を創刊し、ジャーナリズム界での影響力を強めました。

第一次世界大戦中、彼は捕らえられますが、ロシア革命の影響で釈放され、1917年にはミュサヴァト党の党首に選出されます。カフカース・ムスリム大会や全ロシア・ムスリム大会に積極的に参加し、連邦主義を訴えました。1918年にはアゼルバイジャン民主共和国の独立宣言も行い、国民議会の議長に選ばれます。

しかし、1920年に赤軍がアゼルバイジャンを侵攻し、共和国は崩壊。ラスールザーデはその後、ロシア国内での投獄を経て、最終的には西へ逃れました。イスタンブールでは、民族主義思想を広め続けたものの、ソ連の圧力によって困難な状況を強いられ、ついにはトルコからも追放されます。

ヨーロッパ各地を転々とした後、1947年にトルコに戻り、国民教育省出版局や国立図書館での職に就きます。晩年にはアゼルバイジャン民族主義についての執筆を続け、1955年に糖尿病の合併症により死去しました。彼の最後の言葉は「アゼルバイジャン、アゼルバイジャン、アゼルバイジャン！」であり、彼はアンカラのジェベジ・アスリ墓地に埋葬されています。彼の生涯は、アゼルバイジャンの独立と民族主義の発展において重要な役割を果たしました。

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