メラニオーン

メラニオーン（Μελανίων / Μειλανίων）

メラニオーンは、ギリシア神話における人物の一人です。その名前はメイラニオーンとも表記され、ラテン語ではミランオンと呼ばれます。長音を省いてメラニオン、あるいはメイラニオンと記されることもあります。アルカディアー地方の出身で、アムピダマースを父に持ち、アンティマケーを姉妹としています。

特に名高いのは、卓越した女狩人として知られるアタランテーと結婚したことです。アタランテーとの間にはパルテノパイオスという息子をもうけたと伝えられています。ただし、パルテノパイオスの父親については複数の説があり、軍神アレースや英雄メレアグロスであるとする異説も存在します。

神話によれば、メラニオーンは賢明なケンタウロスであり、多くの英雄たちの師でもあったケイローンの弟子でした。彼は困難な状況に立ち向かう強い意志において、他の弟子たちの中でも際立っていたとされています。碑文などの記録からは、有名なカリュドーンの猪狩りに参加したことや、イオールコス王ペリアースの葬礼に際して行われた競技に出場したことが分かっています。また、ケンタウロスのヒュライオスによって、棍棒あるいは弓矢で傷を負わされた経験もあると伝えられています。

彼に関する最もよく知られた物語は、アタランテーとの結婚にまつわるものです。アタランテーはその美貌と狩りの腕前から多くの男性に求婚されましたが、彼女は自身の速足に絶対的な自信を持ち、求婚者たちに徒競走を挑みました。そして、競争で自分に敗れた者を容赦なく殺していたのです。多くの男たちが命を落とす中、メラニオーンはアタランテーに強く惹かれ、彼女との結婚を望みました。

メラニオーンは、愛と美の女神アプロディーテーに助けを求めます。女神は彼の願いを聞き入れ、光り輝く黄金の林檎を彼に授けました。アタランテーとの徒競走が始まると、メラニオーンはアタランテーが自分を追い抜こうとするたびに、この黄金の林檎をコースの外に投げました。美しい林檎に気を取られたアタランテーは立ち止まってそれを拾い上げましたが、そのわずかな隙にメラニオーンは先へ進むことができました。この策略を繰り返すことで、メラニオーンはアタランテーよりも先にゴールラインを通過し、見事に競争に勝利したのです。こうして彼はアタランテーを妻として迎えることができ、二人は結ばれました。

結婚後、メラニオーンとアタランテーは、ある時ゼウスの神聖な領域に入って交わったとされます。この冒涜的な行為によって、二人は神の怒りに触れ、ライオンの姿に変えられてしまったという伝承があります。ただし、アタランテーとの徒競走に勝利し、後にライオンに変えられた人物は、メガレウスの子ヒッポメネースであるとする異説も存在します（詩人オウィディウスや神話学者ヒュギーヌスなどがこの説を伝えています）。

古代ギリシアの旅行家パウサニアースの記述によると、コリントスの僭主キュプセロスがオリュンピアのゼウス神殿に奉納した有名な奉納品「キュプセロスの箱」には、メラニオーンの姿が彫刻されていました。その彫刻は、彼がペリアース王の葬礼競技に参加している様子や、子鹿を連れたアタランテーと共にいる姿を描いていたと記されています。

なお、神話にはこれとは別の同名の人物も登場します。例えば、トロイア戦争において、ミューシアの武将エウリュピュロスの部下として戦い、アンティポスによって討たれたメラニオーンがいます。彼はエリュラーオスとクレイテーの子とされています。

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