メルボルン (空母)

メルボルン (HMAS Melbourne, R21)

メルボルンは、オーストラリア海軍の航空母艦で、イギリス海軍のマジェスティック級航空母艦の1隻であった元の名称はマジェスティック（HMS Majestic, R77）です。この艦はその長い歴史を通じて、多くの重要な役割を果たし、悲劇的な事故も経験しました。

設計と建造

艦は1943年4月15日にバロー・イン・ファーネスのヴィッカース・アームストロング社によって起工され、1945年に進水しました。建造は一時中断されましたが、1947年にオーストラリア海軍への売却が決まり、1949年に再開されました。アングルド・デッキや蒸気カタパルトといった最新技術を取り入れるため、就役までには長い時間を要しました。

1955年にはオーストラリア海軍の旗艦として正式に就役し、トーマス・ホワイト総督夫人によってメルボルンと改名されました。その後、1962年には日本の長崎や神戸、横浜を親善訪問しました。

両衝突事故

メルボルンは1964年2月、ジャーヴィス湾でデアリング級駆逐艦ヴォイジャーと衝突し、82名が命を落とすという悲劇を引き起こしました。続いて1969年には、南シナ海においてアメリカ海軍の駆逐艦フランク・E・エヴァンズとの事故があり、74名が犠牲となりました。両事故は、夜間の任務中にメルボルンの艦首を駆逐艦が横切ったことで発生したもので、操縦ミスが主な原因とされています。これらの事故は、メルボルンの艦歴において暗い記録として残っています。

船の運命

1980年代に入ると、メルボルンは修理が必要な状態となりましたが、オーストラリア政府は新たな航空母艦の取得を進めることにしました。エセックス級航空母艦の購入も検討されましたが、最終的にはイギリスのインヴィンシブル級航空母艦の購入が決定しました。メルボルンは1982年6月30日に解役され、シドニーで保管されました。

その後、1985年に中国造船連合公司に売却され、大連で解体されることとなるのですが、メルボルンは中国の空母研究に利用されたとされています。到着した時点で蒸気カタパルトなどの重要な航空設備が残っており、中国人民解放軍海軍がそれらを研究に使用したという噂があります。さらに、メルボルンの飛行甲板のレプリカやその本物が中国海軍の艦載機パイロットの訓練に利用されたとも言われ、メルボルン自身が中国海軍の発展に寄与した可能性が指摘されています。

結論

このように、メルボルンはその艦歴を通じて多くの功績と悲劇を背負ってきました。オーストラリア海軍の重要な一部として、長年にわたり多くの任務に就いてきたこの艦の存在は、今でも多くの人々によって語り継がれており、その影響力は後世にわたり続いています。

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