モンゴメリー・メグズ

モンゴメリー・カニンガム・メグズ：軍人、土木技師、そしてワシントンD.C.の建設者

モンゴメリー・カニンガム・メグズ（Montgomery Cunningham Meigs、1816年5月3日-1892年1月2日）は、アメリカ陸軍の職業軍人であり、同時に優れた土木技師でした。彼はワシントンD.C.の多くの重要な施設の建設に携わり、その都市景観の形成に大きく貢献しました。特に、南北戦争中は北軍の主計総監として、その卓越した組織力と管理能力を発揮し、北軍の勝利に貢献しました。

初期の経歴と建設プロジェクト

ジョージア州オーガスタで生まれたメグズは、幼少期にペンシルベニア州に移り住みました。当初はペンシルベニア大学に入学しましたが、後に陸軍士官学校に進み、1836年に卒業しました。卒業後は第1アメリカ砲兵隊に少尉として任官しましたが、その後のキャリアの大半は工兵司令部で、数々の重要な建設プロジェクトに関わることになります。

初期の任務では、デラウェア川のミフリン砦やデトロイト川のウェイン砦の建設に携わりました。また、ロバート・E・リー中尉の指揮下でミシシッピ川の航行性改善事業にも参加しました。1844年からはニューヨーク州北部のシャンプレーン湖にモンゴメリー砦を建設するプロジェクトを担当しました。

しかし、メグズが特に力を注いだのは、ワシントン上水道の建設でした。1852年から1860年までこのプロジェクトを監督し、キャビンジョン・クリークに架かるユニオンアーチ橋を設計しました。この橋は、当時世界で最長の石造りアーチ橋として知られていました。また、1853年から1859年にはアメリカ合衆国議会議事堂の両翼とドームの建設、1855年から1859年には総合郵便局ビルの拡張も監督しました。

南北戦争での活躍

南北戦争勃発直前、メグズはフロリダ州のピケンズ砦を解放する秘密作戦に携わりました。エイブラハム・リンカーン大統領とウィリアム・スワード国務長官の密命を受け、海軍のデイビッド・ディクソン・ポーター大尉と共に、海軍長官と陸軍長官に知られることなく遠征を実行しました。

1861年5月14日、メグズは第11アメリカ歩兵連隊の大佐に任命され、翌日には准将として陸軍の主計総監に昇進しました。これは、前任のジョセフ・ジョンストンが南軍に転じたためでした。メグズは、その効率性、厳格さ、そして徹底した正直さで知られ、主計局を軍事作戦における重要な兵站部門へと変貌させました。特に、兵站準備の重要性をいち早く認識し、物資の輸送と部隊の展開を円滑に行いました。

国務長官ウィリアム・スワードは、「この優れた軍人の貢献が無ければ、国の利益は失われるか、著しく危険に晒されるだろう」とメグズの功績を称えました。

メグズは、ユリシーズ・グラント中将のためにフレデリックスバーグやベルプレーンの補給基地を指揮し、ジュバル・アーリー中将がワシントンを襲撃した際には首都防衛のために陸軍省職員の部隊を指揮しました。また、ウィリアム・シャーマン少将の軍隊への補給を監督し、その補給線を再開させるなど、数々の功績を上げました。1864年7月5日には、少将に名誉昇進しました。

アーリントン国立墓地の創設

南部出身でありながら、メグズは連邦主義者であり、アメリカ連合国を強く嫌悪していました。ロバート・E・リーの妻が所有するカスティス邸宅を軍隊の墓地として使用することを提案し、その結果、アーリントン国立墓地が1864年に創設されました。しかし、この決断は、メグズの息子ジョン・ロジャース・メグズ中尉が戦死したことと関連して、メグズ自身の心情と複雑な背景が絡み合っていました。1882年には、アメリカ合衆国最高裁判所が、この墓地の設置を違法と裁定しましたが、その後、リーは政府に土地を売却し、結果としてこの墓地は存続することとなりました。

戦後の活動とペンションビル

南北戦争後もメグズは主計総監として、陸軍省ビル、国立博物館、ワシントン上水道の拡張、記録会館などの建設を監督しました。また、『奉仕的主計官』という論文を編集し、これは第一次世界大戦まで主計局の標準書として使われました。1866年から1868年にはヨーロッパを訪れて戦中の疲労を癒し、1875年から1876年にはヨーロッパの軍隊組織を学ぶために再度渡航しました。

1882年に陸軍を退役した後、恩給事務ビルの建築家となり、現在の国立建造物博物館を建設しました。この建物は、ギリシャ・ローマ様式ではなく、イタリア・ルネサンス様式に基づいた設計が特徴的で、当時のワシントンの支配層の感情を反映したものでした。

この建物の装飾として、キャスパー・ブバールによる彫刻フリーズがあり、1,300人以上の人物が描かれています。このフリーズには、歩兵、水兵、砲兵、騎兵、医療部隊、そして補給の様子が描かれ、その中には黒人の御者も含まれていました。メグズは人種差別に反対し、この人物をフリーズの中央に描かせました。

その死と栄誉

1892年にメグズはワシントンで短期間の病の後に亡くなり、アーリントン国立墓地に軍葬の礼をもって埋葬されました。彼の死を悼み、陸軍は「政府が非常に多岐にわたる責任を託し、その信頼に応えた士官は稀である」と発表しました。

メグズは、その卓越した軍事的才能と土木技術だけでなく、人種差別に対する強い姿勢、そして誠実さによって、人々に敬愛され、その業績は今もなお語り継がれています。

主計局の殿堂には、1986年にメグズが収められ、また、オーストラリアで沈没した陸軍輸送船USATメグズや、アメリカ海軍の輸送船USSジェネラル・M・C・メグズも彼の栄誉を称えて命名されました。

メグズの生涯は、多岐にわたる分野で傑出した貢献をなし、その功績は今もなお、人々に影響を与え続けています。

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