モンゴルの西遼征服

モンゴル帝国による西遼征服：1218年の激動

1218年、モンゴル帝国は中央アジアに勢力を伸ばし、西遼（カラ・キタイ）を征服しました。この征服劇は、西遼の内紛と周辺勢力との複雑な関係、そしてモンゴル軍の圧倒的な軍事力によって形作られた、歴史の転換点でした。

西遼の衰退：内紛と周辺勢力の圧力

モンゴル帝国による征服が始まる以前、西遼は既に衰退の兆候を見せていました。1204年、チンギス・カンに敗れたナイマン部族の王子クチュルクは西遼に亡命し、やがて皇帝耶律直魯古の娘を娶り、将軍の地位にまで上り詰めます。しかし、野心的なクチュルクは1210年、ホラズム・シャー朝と手を結び、耶律直魯古への反乱を起こします。この内紛は西遼を疲弊させ、周辺勢力であるホラズム・シャー朝はこれを好機と捉え、西遼領への侵攻を開始します。この戦争で西遼は領土を失い、国力はさらに弱体化しました。

クチュルクは1211年には耶律直魯古を捕らえ、実権を掌握します。1213年に耶律直魯古が亡くなると、クチュルクは西遼の皇帝の座に就きます。彼はイスラム教徒を迫害するなど、支配者としての資質に欠け、多くの西遼国民の支持を失っていきました。さらに、クチュルクはモンゴルへの臣従を誓ったカルルクの指導者オザルを殺害し、アルマリクを包囲するなど、周辺諸国との関係も悪化させました。

モンゴルの侵攻とクチュルクの最期

西遼の混乱に乗じて、チンギス・カンは1218年、ジェベ将軍率いる2万の精鋭部隊を西遼へ派遣します。ジェベはまずアルマリクを解放し、その後、西遼の首都ベラサグンへと進軍します。ベラサグンでジェベは3万の西遼軍を撃破し、クチュルクは敗走します。逃亡するクチュルクは、カシュガルで住民の反乱に遭い、さらにパミール山脈を越えてバダフシャーン地方へと逃亡しますが、そこで猟師に捕らえられ、殺害されたと伝えられています。クチュルクの死によって西遼の抵抗は完全に崩壊しました。

西遼征服後の展開

西遼征服後、モンゴル帝国は中央アジアにおける支配を強固なものにしました。ジェベは、チンギス・カンに献上する馬を1000頭用意するなど、忠誠を尽くしました。モンゴルはカシュガル、ヤルカンド、バルハシ湖周辺などを支配下に置きました。一方、西遼王族の一部はイラン東部で独立した政権を樹立しましたが、後に滅ぼされました。西遼征服は、モンゴル帝国によるホラズム・シャー朝への侵攻への布石ともなり、中央アジアの歴史に大きな影響を与えました。西遼の滅亡は、内紛と周辺諸国との関係悪化が招いた悲劇的な結末であったと言えるでしょう。そして、モンゴル帝国による西遼征服は、中央アジアの勢力図を大きく変え、後の歴史に大きな影響を与えることになります。

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