モンゴル国軍

モンゴル国軍：歴史と現状

モンゴル国軍は、モンゴル革命を支えたモンゴル人民軍から発展しました。社会主義体制崩壊後、国の軍隊として再編され、現在に至ります。

概要

20世紀、モンゴルは満州国や中国との緩衝地帯として、ソ連から豊富な兵器の供与を受けていました。しかし、冷戦終結後は地政学的価値が低下し、援助が減少。航空戦力を失うなど、装備の老朽化が深刻化しています。

総兵力は約1万5千人、予備役は14万人です。徴兵制度がありますが、兵役代替金の納付や留学で免除されることもあります。軍事費は2003年時点で181億9,890万トゥグルグです。

装備

装備の多くは人民軍時代にソ連から供与されたものですが、戦闘機や攻撃ヘリコプターは退役しています。過去にはMiG-17、MiG-19、MiG-21PFM、Mi-24Vなどを保有していましたが、現在はMi-8T、Mi-17、2019年にロシアから導入されたMiG-29など少数のみです。地対空ミサイルも保有していましたが、ソ連崩壊後の自然損耗により稼働率は不明です。

陸上装備も老朽化が進み、稼働しているのは100両未満のT-72型戦車とBMP/BTR-70/BTR-80型歩兵戦闘車程度です。歩兵用の小火器はAK-47やPKM機関銃が主体ですが、特殊部隊はガリルACEも使用しています。

兵力は社会主義時代の2万8千人から約1万人にまで縮小されました。装備の保守能力低下により、戦闘機が全機退役するなど、戦力は低下しています。現在、MiG-21PFMとMi-24Vの修理、MiG-29UPGとSu-27UBの導入による空軍再建計画が進められています。

国際協力と災害対策

21世紀のモンゴル国軍は、海外協力と災害対策を重視しています。イラク戦争への支持表明や復興支援部隊の派遣、アフガニスタン軍への指導、コンゴでのPKO活動など、国際貢献に積極的に取り組んでいます。

隣国ロシアや中国との軍事演習も実施しており、2018年には大規模な「ボストーク2018」演習に参加しました。西側諸国との防衛交流も活発で、合同演習やPKO国際演習場の設置などを行っています。日本の防衛省・自衛隊との交流も進んでおり、防衛大学校への留学生派遣やセミナー参加などが行われています。

モンゴル国境警備隊

国境警備隊は国軍とは別の組織ですが、徴兵は一括して行われます。主な活動は、家畜の越境問題など、隣接国とのトラブルへの対応です。

モンゴル海軍

モンゴルは内陸国ですが、かつて海軍が存在しました。フブスグル湖を拠点とし、スフバートル号1隻と石油輸送用バージ3隻、兵員7名で構成されていました。ソ連崩壊後は財政的な制約から民営化され、現在は観光客の案内や物資輸送に使用されています。

モンゴル国軍は、歴史的な変遷を経て、国際社会への貢献と国内の安全保障を担う存在として、新たな道を歩んでいます。

もう一度検索