モンゴル縦貫鉄道

モンゴル縦貫鉄道：ユーラシア大陸を繋ぐ大動脈

モンゴル縦貫鉄道は、ロシアのウラン・ウデからモンゴルを縦断し、中国のエレンホトに至る鉄道路線です。この鉄道は、シベリア鉄道と接続し、モンゴルの主要都市を経由することで、北京とモスクワを結ぶ最短ルートとして重要な役割を果たしています。かつては「ソ蒙中鉄道」や「ロ蒙中鉄道」とも呼ばれていました。

概要

モンゴル縦貫鉄道は、ロシアのウラン・ウデ駅でシベリア鉄道から分岐し、モンゴル国内ではスフバートル、ダルハン、ズーンハラ、ウランバートル、チョイル、サインシャンド、ザミンウードといった軍事的、経済的に重要な都市を経由します。ザミンウードで中蒙国境を越え、中国のエレンホト駅で集二線と接続します。

この路線は、北京とモスクワを結ぶ最短の鉄道路線であるため、週に1本、北京とモスクワを直通する国際列車K3/4次列車|K3_4次列車が運行されています。モンゴル縦貫鉄道の大部分はモンゴル国内に位置し、全線が単線非電化で、軌間は1520mmです。自動閉塞に対応していないため、1日の運行本数は13本に制限され、年間の貨物輸送量は620万tとなっています。

歴史

モンゴルにおける鉄道の歴史は、1938年にウランバートルからナライフ炭鉱までの43kmの軽便鉄道の建設から始まりました。同年中にソ連の協力によって236kmの貨物路線が建設されました。モンゴル縦貫鉄道の建設は1947年に開始され、1950年に北部の路線が全線開通。1955年には、中国が建設していた集二線と接続し、中蒙国境まで開通しました。

これにより、北京とモスクワ間の距離は、従来の満洲里経由と比較して1,141km短縮されました。1958年7月28日には、ポーランドのワルシャワで国際連絡旅客列車時刻表会議が開催され、北京からモンゴル縦貫鉄道を経由してモスクワを結ぶ国際列車の運行が決定。翌年の1959年6月4日には、北京-ウランバートル-モスクワ間の国際旅客列車が正式に運行を開始しました。

しかし、1960年代から始まった中ソ対立の影響で、1965年10月12日には、1955年に中国がソ連とモンゴルとの取り決めで広軌の1,520mmに改軌した集二線の軌間が、再び標準軌の1,435mmに改軌されました。これにより、中蒙国境駅であるエレンホト駅で台車交換が必要になりました。

運営

モンゴル国内では、ウランバートル鉄道（Улаанбаатар төмөр зам）がモンゴル縦貫鉄道を運営しています。モンゴルでは道路交通や航空の発達が遅れているため、貨物輸送の約80%、旅客輸送の約30%を鉄道が担っています。

モンゴル国内の区間のほとんどは山地で、海抜も600mから1,700mとアップダウンが激しく、急カーブも多いため、最高速度は時速75kmに制限されています。積載できる貨物の重量も2,800tから3,400tに制限されています。

1990年の民主化以降、モンゴルの経済は衰退傾向にありましたが、モンゴル縦貫鉄道の貨物輸送量は2005年から回復傾向にあります。一方、旅客輸送については2001年に年間410万人を輸送しました。

ギャラリー

(画像は省略)

参考文献・出典

阿部真之、岡田健太郎（2011年）. 『中国鉄道大全 中国鉄道10万km徹底ガイド』, 旅行人. ISBN 9784947702692
“モンゴル　鉄道輸送力整備事業” (PDF). JICA (2003年6月).

関連項目

モンゴル国の鉄道
ロシア鉄道
中華人民共和国の鉄道
K3/4次列車|K3_4次列車
K23/24次列車
ホルローギーン・チョイバルサン

外部リンク

ウランバートル鉄道 （モンゴル語・英語）
UB Railfan ウランバートル在住の鉄道ファンによるページ
* 中国鉄道倶楽部 国際列車

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