モントリオール (フリゲート・2代)

HMCSモントリオール (FFH 336) : カナダ海軍のフリゲート

HMCSモントリオール（HMCS Montreal, FFH 336）は、カナダ海軍が誇るハリファックス級フリゲートの7番艦です。カナダ哨戒フリゲート計画に基づいて建造され、1994年に就役しました。カナダ海軍の大西洋海上軍（MARLANT）に配備され、ハリファックス基地を母港としています。英語と仏語を公用語とするカナダ海軍において、バイリンガル艦に指定されているのが特徴です。

艦艇の歴史

モントリオールという艦名は、第二次世界大戦中に就役したリバー級フリゲートのモントリオール（HMCS Montreal, K319）に続き、2隻目となります。本艦は、ニューブランズウィック州セントジョンのセントジョン造船所で1991年2月8日に起工され、1992年2月28日に進水、1994年7月21日に就役しました。興味深いことに、6番艦であるカルガリー（HMCS Calgary, FFH 336）よりも先に起工され、約10ヵ月早く就役しています。

主要な任務と活動

1995年1月、ユーゴスラビア紛争に対する北大西洋条約機構（NATO）のアドリア海海上封鎖任務に参加。2005年7月19日にカナダに戻るまでに2回、旗艦を務めました。

1997年には、船体ノイズ低減のため12,500枚の無反響タイルを装着する実験が行われましたが、残念ながら期待された効果は得られませんでした。

1998年、ロシア海軍の創立300周年を記念して、NATO艦隊の一員としてサンクトペテルブルクを訪問。21世紀を記念してアメリカ合衆国で開催されたニューヨーク国際観艦式には、カナダ海軍の代表として参加しました。

2000年7月、カナダ軍が旧ユーゴスラビアのコソボおよびマケドニアでの国際連合平和維持活動（PKO）で使用した機材をギリシャからカナダ本国へ輸送していた貨物船GTS Katieを監視するメガホン作戦に駆逐艦と共に参加、強行乗船により制圧し、護衛しました。

2002年9月には、アフガニスタンに対する米英両国による不朽の自由作戦を支援するアポロ作戦に参加。当初は駆逐艦イロクォイ（HMCS Iroquois, DDG-280）と交代して帰還する予定でしたが、イロクォイの艦載ヘリコプターであるCH-124シーキングの墜落事故により交代が延期され、2003年4月まで展開を継続しました。

2005年1月、NATO即応部隊の第1常設NATO海洋グループ（SNMG1）の編成にあたり展開。同年2月8日には、ロバート・ルブラン兵長が船外に転落し、その後、死亡認定されるという悲しい出来事がありました。

2010年には、ナヌーク作戦 (2010年)に参加。また、CH-148 サイクロンの艦上運用試験にも従事し、試験のため、艦載ヘリ用飛行甲板着陸灯への暗視装置に対応したフィルターの追加や、CH-124シーキングより増加した機体重量に対応するためのヘリ甲板の強化などが行われました。

2011年7月3日、英国王室のカナダ訪問の一環として、ケンブリッジ公爵およびケンブリッジ公爵夫人がモントリオールからケベックまで乗艦されました。

2011年8月には、五大湖への展開でオンタリオ湖へセントローレンス水路を航海し、トロント、ハミルトン、モントリオール、トロワリヴィエールなど11都市を訪問しました。

近代化改修と最近の活動

2013年9月26日、HCM/FELEX（Halifax Class modernisation programme / frigate life extension）計画に基づいた中間寿命改修および近代化を終えて艦隊に復帰。新たな武器システムの試験を行い、2014年5月9日に限定的な運用状態となり、その後の試験と訓練を経て、2015年3月9日に通常の運用に復帰しました。

2015年秋には、NATO海軍演習Joint Warriorに参加。NATO演習終了後の2015年10月には、海上戦域ミサイル防衛フォーラム（MTMD）が主催して英国北部スコットランドのヘブリディーズ諸島沖で行われた多国間演習At Sea Demonstration 2015（ASD2015）に参加。演習中にクライド海軍基地で、カナダ海軍大西洋海上軍司令官に就任したチャールズ3世（当時は皇太子）の公式訪問を受けました。

2016年3月、ノバスコシア沖でCH-148サイクロンの運用試験を実施。2016年4月には、フレデリクトン（HMCS Fredericton, FFH-337）とともに、カナダ海軍の乗組員縮小計画のための試験艦となることが発表されました。

2023年6月3日、アメリカ海軍駆逐艦「チャンフー」とともに、台湾海峡が国際海峡であることを示すために南から北へ航過する任務を実施しました。

同年6月10日から14日にかけて沖縄南方海域から南シナ海に至る海空域において、海上自衛隊護衛艦「いずも」及び「さみだれ」、米海軍「ロナルド・レーガン」空母打撃群、フランス海軍フリゲート「ロレーヌ」と日米加仏共同訓練を実施。引き続き6月14日から6月19日にかけて、南シナ海において海自護衛艦「いずも」、米海軍駆逐艦「ラファエル・ペラルタ」と日米加共同訓練（ノーブル・レイブン23）を実施しました。

HMCSモントリオールは、長年にわたりカナダ海軍の重要な一翼を担い、国内外の様々な任務で活躍しています。その多岐にわたる活動は、カナダの国際的なプレゼンスを示すとともに、世界の平和と安全に貢献しています。

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