ヤシュハ

ヤシュハ遺跡の概要

ヤシュハ（Yaxha）は、グアテマラのペテン県東部に位置する古代マヤ文明の遺跡で、同名の湖の北岸に広がっています。遺跡の名は「ヤシャ」または「ヤシャー」とも呼ばれ、2003年に設立されたヤシュハ＝ナクム＝ナランホ国立公園の一部を形成しています。この公園は2006年にラムサール条約にも登録され、湿地保護の重要性が認識されています。

名前の由来

「ヤシュハ」という名称は、マヤ語で「yax（緑または青）」「ha'（水）」を意味し、ヤシュハ湖の緑がかった水に由来しています。この遺跡は、通常の俗称とは異なり、実際の名称に一致する珍しい例でもあります。言語学者デイヴィッド・ステュアートによって、遺跡の紋章文字が「YAX-a」と正しく読み取られたことが確認されています。

建造物と設計

ヤシュハ遺跡は、500以上の建物で構成されており、建物の密度は驚異的で、ティカルよりも高い密度を誇ります。この遺跡内には約40の石碑が発見されており、また舗装された堤道（サクベ）や街路（via）も存在します。特に特徴的なのは、ティカル以外には珍しいツイン・ピラミッド複合体であり、これはティカルとの政治的な関係を示唆しています。

歴史的背景

ヤシュハは、紀元前800年頃の形成期中期に人が住み始めたと言われています。古典期後期にこの地域は重要な中心地となり、エル・ミラドール、ティカルに次ぐグアテマラ第三の規模を誇る都市でした。碑文の多くは摩滅しており、詳細な歴史は不明ですが、近隣のナランホとの争いが度々あったことが知られています。最も新しい石碑の一つは796年に日付を持ち、後の10世紀にはヤシュハは放棄されたとされています。後古典期にも、ヤシュハ湖周辺のトポシュテ諸島にはマヤ人が一部住んでいることが確認されています。

18世紀には、周辺にスペイン人の集落ができ、ヤシュハ遺跡にも彼らの落書きが残されています。この遺跡は、考古学者テオベルト・マーラーが訪問し、写真に収めたことでも知られ、彼の発見がヤシュハの重要性を再認識させる契機となりました。

まとめ

ヤシュハは、古代マヤ文明の偉大さと複雑な歴史を持つ遺跡です。湖の美しい風景と共に、数多くの建物や石碑が、当時の人々の文化や信仰を物語っています。現在、ここは重要な考古学的場所として、多くの人々にその魅力を伝え続けています。

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