マヤ人

マヤ人：多様な文化と歴史を継承する先住民族

マヤ人とは、メキシコ南部から中央アメリカ北部にかけて広がる地域に居住するアメリカ州の先住民族を指します。しかし、彼らは単一の民族ではなく、文化や言語の一部を共有する多様な集団の総称です。それぞれの集団は独自の伝統、文化、歴史的なアイデンティティを保持しています。

21世紀初頭の時点で、この地域に居住するマヤ人の人口は約700万人と推定されています。グアテマラ、メキシコ南部（ユカタン半島を含む）、ベリーズ、エルサルバドル、ホンジュラス西部などに大きなコミュニティが存在し、古代からの文化が色濃く残っています。多数派であるメスティーソのスペイン文化の影響を受けつつも、伝統的な生活を続け、マヤ語族の言語を主要な言語として使用する人々も少なくありません。

地域ごとのマヤ人

ユカタン半島

現代のマヤ人で最大のグループは、メキシコのユカタン半島に居住しています。彼らは自身をシンプルに「マヤ」と認識しており、人類学者が「ユカテコ語」と定義する言語を「マヤ」と呼んでいます。マヤ語の話者は、一般的にスペイン語を第二言語または母語として使用します。

ユカタン半島のマヤ人が最初にヨーロッパ人と遭遇したのは、1511年にスペインの難破船の生存者が漂着した時でした。その後、1517年のコルドバ、1518年のグリハルバ、1519年のコルテスによる遠征を受け、1542年にはスペインの支配下に入りました。

チアパス

メキシコのチアパス州には、ツォツィル族とツェルタル族という主要なマヤ系民族が居住しています。彼らの祖先は紀元後400年頃に高地に移住し、現在のサン・クリストバル・デ・ラス・カサスの山間部を開拓したと考えられています。

タバスコ

メキシコのタバスコ州には、チョンタル族が居住しています。

ベリーズ

ベリーズのマヤ人は、カヨ郡、トレド郡、オレンジウォーク郡に集中していますが、他の地域にも散在しています。彼らはユカテコ、ケクチ、モパンの3つのグループに分かれています。

グアテマラ

グアテマラには、西部の高地に伝統的なマヤコミュニティが数多く存在します。バハ・ベラパス県、キチェ県、トトニカパン県、ウェウェテナンゴ県、ケツァルテナンゴ県、サン・マルコス県などでは、人口の大部分をマヤ人が占め、多くのマヤ語系言語が日常的に使用されています。

グアテマラ政府は、言語に基づいてマヤ人を21の民族に分類しています。中でもキチェ族が最も多く、グアテマラの人口の11%を占めています。その他、ケクチ族、カクチケル族、マム族などの人口が多いです。

グアテマラ内戦中（特に1980年代初頭）には、貧困層のマヤ人がゲリラのシンパと見なされ、グアテマラ軍による虐殺の対象となりました。多くのマヤ人が国外に逃れることを余儀なくされました。

マヤ人は、多様な文化と歴史を持つ先住民族であり、現代においてもその伝統を大切に守りながら生活しています。

関連情報

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