ヤマハゼ

ヤマハゼ（山櫨・山黄櫨）

ヤマハゼ（学名: Toxicodendron sylvestre）は、ウルシ科ウルシ属の落葉小高木です。別名として山黄櫨とも呼ばれ、秋の紅葉が美しいことで知られています。名前の通り、山地に自生する植物です。

分布と生育地

ヤマハゼは、日本を含む東アジアに広く分布しています。具体的には、中国、台湾、朝鮮半島、そして日本では本州の関東地方以西、四国、九州、沖縄で見られます。山地での生育が一般的です。

特徴

ヤマハゼは落葉広葉樹の小高木で、成長すると樹高は5メートルから8メートルほどになります。樹皮は暗灰褐色で、成長に伴い縦に裂け、短冊状に剥がれていきます。一年枝は太く、枝先には毛が残るのが特徴です。

葉は奇数羽状複葉で、小葉は4対から6対あります。葉の両面には毛が散生しており、葉の縁は全縁（鋸歯がない）です。葉軸の上面にも毛が生えています。秋になると葉は赤く紅葉し、山を彩ります。

花期は5月から6月にかけてで、雌雄異株です。黄緑色の小さな花を咲かせます。

果実は黄褐色で、表面は無毛で光沢があります。秋に熟すとひときわ目立ちます。

冬芽は裸芽で、黄褐色の毛が密生しています。枝先につく頂芽は円錐状で大きく、先端は不揃いな傾向があります。側芽は枝に互生し、卵円形で小さいです。側芽から側枝が出ることもよくあります。葉痕は大きく、心形や半円形で、維管束痕が多数つきます。

近縁種

ヤマハゼの近縁種としては、以下のものがあります。

ハゼノキ (Toxicodendron succedaneum)
ヤマウルシ (Toxicodendron trichocarpum)
ウルシ (Toxicodendron vernicifluum)

これらの植物もヤマハゼと同様にウルシ科ウルシ属に属し、かぶれを引き起こす可能性がありますので、注意が必要です。

ヤマハゼと人との関わり

ヤマハゼは、美しい紅葉が楽しめることから、庭木として利用されることもあります。しかし、ウルシオールという成分を含んでおり、触れるとかぶれることがあるため、取り扱いには注意が必要です。庭に植える場合は、子供やペットが触れないように配慮しましょう。

まとめ

ヤマハゼは、美しい紅葉が特徴的な落葉小高木です。分布域も広く、比較的目にしやすい植物ですが、ウルシ科特有の毒性を持つため、むやみに触れないように注意が必要です。秋の山歩きの際には、ヤマハゼの美しい紅葉を探してみてはいかがでしょうか。

参考文献

鈴木庸夫・高橋冬・安延尚文『樹皮と冬芽：四季を通じて樹木を観察する 431種』誠文堂新光社〈ネイチャーウォチングガイドブック〉、2014年10月10日、103頁。ISBN 978-4-416-61438-9。
茂木透 写真、高橋秀男・勝山輝男 監修『樹に咲く花：離弁花 2』山と溪谷社〈山溪ハンディ図鑑 4〉、2000年10月、278-279頁。ISBN 4-635-07004-2。
林将之『紅葉ハンドブック』文一総合出版、2008年、40頁。ISBN 978-4-8299-0187-8。

関連項目

木の一覧
ハゼノキ

外部リンク

Toxicodendron sylvestre - National Center for Biotechnology Information（NCBI） (英語)
Toxicodendron sylvestre - Encyclopedia of Life （英語）
* ヤマハゼ - 岡山理科大学 植物雑学事典

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