ヤメ検とは
「ヤメ検」とは、元
検事の
弁護士を指す俗称です。
検事の多くは
司法修習を修了しており、
弁護士資格を有しています。
検事を辞めた後、または
定年退官後に
弁護士として活動する人が一定数存在します。この背景には、
検察官として任官しても
定年まで勤務しない人が多いことや、
弁護士には
定年がないことが挙げられます。
ヤメ検の背景
検察官を辞めて
弁護士になる人が多いのは、
検察官任官者が
弁護士資格を持っていることが大きな理由です。また、
検事の仕事は多忙であるため、
定年まで務め上げずに
弁護士として活動する道を選ぶ人もいます。さらに、
検事としての経験は
弁護士業務、特に刑事事件において非常に有利に働きます。
メディア出演
現役の
検察官は
公務員であるため、メディアで積極的に意見を述べることは難しい状況です。そのため、ヤメ検が
コメンテーターとしてテレビ番組に出演し、検察の立場を代弁する役割を担うことがあります。この現象は、警察官の退職者にも同様に見られます。ただし、中には
山口組顧問
弁護士のように、闇社会との関わりを深めるケースも存在します。
問題点
ヤメ検の存在には、いくつかの問題点が指摘されています。以下にその詳細を説明します。
ライブドア事件で逮捕された
堀江貴文は、検察が事件を作り、そのOBであるヤメ検が弁護をする構図を「法曹界の仕事マッチポンプ」と批判しています。また、近年の経済事件の厳罰化は、企業が検察OBを顧問として迎え入れる動きを加速させていると指摘しています。
ジャーナリストの
森功や、元
検事の
田中森一は、
検事の世界が非常に狭いムラ社会であり、現役
検事とヤメ検の関係が密接であることを指摘しています。そのため、法廷で対決するヤメ検と現役
検事が、
検事時代の関係性を維持し、気脈を通じることが珍しくありません。この状況が、裁判で「落とし所」を探るような妥協を生み出す原因になっているとされています。また、ヤメ検は検察の手法を熟知しているため、捜査の穴を突き、裁判を有利に進めることがあります。
ヤメ検は、
弁護士として依頼人の利益のために活動しますが、その影響力が検察の捜査を抑制することもあります。また、暴力団関係者や不正を行っている組織が、ヤメ検の力を利用して罪を逃れようとすることも問題視されています。中には、ヤメ検が闇社会に取り込まれてしまうケースも存在します。
現役検事との関係
現役
検事の中には、ヤメ検による捜査妨害を感じている人も少なくありません。その結果、ヤメ検が「
国策捜査」の対象となり、逮捕される事例も発生しています。また、現役
検事とヤメ検の癒着も問題視されており、検察の裏金問題が内部告発された際、告発者が逮捕された事例もあります。
ヤメ検の活動の実態
ヤメ検に弁護を依頼するのは、犯罪容疑者や不正を行った企業、暴力団関係者などが多いです。世間を騒がせるような大事件では、ヤメ検が弁護に関わることは少なくありません。その結果、裁判で事件の真相が曖昧になり、容疑者の罪が軽くなることがあります。
ヤメ判との比較
裁判官出身の
弁護士は「ヤメ判」と呼ばれます。ヤメ判は、
定年まで勤務して
弁護士に転身するケースが多く、ヤメ検に比べて年齢が高い傾向にあります。また、裁判官は中立的な立場であるため、
弁護士としてのうまみはヤメ検に劣ると言われています。
ヤメ検の著名人
ヤメ検として著名な人物には、以下のような方がいます。
石川達紘(元東京地検特捜部長、元名古屋高検検事長)
植松正(
一橋大学名誉教授、元東京高検
検事)
大澤孝征(元東京地検検事)
大鶴基成(元最高検察庁公判部長、第31代東京地方検察庁
特別捜査部長)
小川敏夫(元法務大臣、元東京地検検事)
河上和雄(元東京地検特捜部長)
草鹿浅之介(元大阪高検検事長)
神崎武法(元
法務大臣官房秘書課広報連絡室長・内閣審議官、公明党元代表)
熊﨑勝彦(元東京地検特捜部長、元最高検公安部長)
郷原信郎(元東京地方検察庁八王子支部副部長、元東京高検
検事)
住田裕子(元法務省訟務局付検事)
田中森一(元東京地検特捜部
検事)
根來泰周(元東京高検検事長)
堀田力(元東京地検特捜部
検事、元法務省官房長)
本間喜一(一橋大学名誉教授、元最高裁判所事務総長)
松下幸徳(
佐賀潜の筆名で推理小説家)
松永光(元福岡地検検事、元大蔵大臣、元通産大臣)
宗像紀夫(元東京地検特捜部長、元名古屋高検
検事長)
菅野志桜里(元衆議院議員)
山下貴司(元
法務大臣)
横山昭二(麻原彰晃の元私選弁護人)
若狭勝(元衆議院議員、元東京地検公安部長、元横浜地検刑事部長)
佐々木善三(元東京地検特捜部副部長)
落合洋司(東京地検
検事)
まとめ
ヤメ検は、検察の経験を活かして
弁護士として活躍する一方で、その存在が司法制度や社会に様々な影響を与えていることがわかります。ヤメ検の問題点や、現役
検事との関係、また闇社会との繋がりなど、多岐に渡る問題があることを理解しておく必要があります。