ヨハン・ハインリヒ・フュースリー

ヨハン・ハインリヒ・フュースリーについて

ヨハン・ハインリヒ・フュースリー（1741年2月7日 - 1825年4月16日）は、18世紀から19世紀にかけて活動した、ドイツ系スイス人の画家です。彼はその革新的なスタイルと大胆な表現で知られ、主にイギリスで活躍しました。彼はフュースリ、フューズリ、フュッスリなど様々な表記で呼ばれることがありますが、ここでは通称の「フュースリー」を使用します。

生い立ち

フュースリーはスイスのチューリッヒで18人兄弟の第二子として生まれました。父のヨハン・カスパー・フュースリーは画家であり、肖像画や風景画を多く手掛けていました。彼は著書『ヘルヴェティアの画家の生涯』を通じてスイス文化の風景画を広めました。しかし、父は息子に聖職者になることを望んでおり、フュースリーはカロリン・カレッジで教育を受けました。そこで彼は将来の友人となるヨハン・カスパー・ラヴァーターと知り合います。

1761年、ラヴァーターが不正官僚を非難した際、フュースリーは彼を支持したために国外追放され、まずドイツ、その後1765年にはイギリスに渡りました。イギリスでは様々な書物を執筆しながら生計を立てる中、絵画の巨匠ジョシュア・レノルズ卿に出会い、彼の助言により絵画に専念します。

イタリアへの旅と活動

1770年、フュースリーはイタリアへ渡り、1778年まで滞在しました。この期間中、彼は名字をFüssliからFuseliに改名し、イタリアの息を取り入れました。イタリア滞在後、彼は版画家ジョン・ボイデルから多くの注文を受け、その作品を生み出しました。また、ラヴァーターの人相学の書籍の英訳を手がけ、ウィリアム・クーパーのホメロスの翻訳にも協力しました。

1788年、フュースリーはロイヤル・アカデミーの準会員となり、同年にソフィア・ローリンズと結婚します。彼の作品は、メアリ・ウルストンクラフトとの交流を通じて広がりますが、奥さんの猛反対によりウルストンクラフトとの友好関係は続きませんでした。結婚後すぐに、彼はアカデミーの会員として昇進します。

代表作と美術活動

1799年、フュースリーはジョン・ミルトンの作品にインスパイアを受けた展覧会を開催しました。ここで披露された47点の大作は、彼の野心的な取り組みを示していますが、商業的成功には至りませんでした。1799年には、美術教授として昇進し、数年後には芸術館長に選ばれますが、1810年に復職するまで教授職を辞していました。

彼の作品は、超自然的なテーマや人物の表現が特徴的で、歴史を描いた作品でも誇張を用いることが一般的でした。ミケランジェロの影響を受けたスタイルは、彼の作品に独特のエネルギーを与えていました。中でも『夢魔』は彼の代表作であり、1782年に発表された際には高い評価を得ました。

晩年と評価

フュースリーは84歳でプトニー・ヒルにて亡くなりました。健康上の問題はほとんどなく、彼が亡くなる時には比較的裕福な生活を送っていました。フュースリーの作品数は200点以上で多数が公開されておらず、絵画よりもスケッチやデザインが高く評価されています。彼の芸術的な功績は正確な技術と情熱的な表現力に支えられ、後世の多くの画家たちに影響を与えました。

追悼と遺産

フュースリーはセント・ポール大聖堂に埋葬され、彼の作品や思想は今日でも多くの美術愛好家や研究者に受け継がれています。彼の独自の視点から生まれた作品は、今もなお美術史の中で重要な位置を占めています。特に、彼が描いた幻想的で個性的な絵画は、観る者に深い感動を与え続けています。

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