ライアン・ベイダー

ライアン・ベイダー：二階級制覇を成し遂げたアメリカの格闘家

ライアン・ベイダー（Ryan Bader）は、1983年6月7日生まれのアメリカ合衆国出身の総合格闘家です。ネバダ州リノで生まれ、現在はパワーMMAチームに所属しています。彼は、Bellator世界ヘビー級王者であり、元Bellator世界ライトヘビー級王者という輝かしい実績を持ち、Bellator史上2人目の二階級制覇王者、そして史上初の二階級同時王者となりました。

アマチュア時代

ベイダーは7歳でレスリングを始め、高校時代にはネバダ州王者として2度輝き、全米大会でも3位入賞を果たしました。また、アメリカンフットボールでも活躍し、2001年にはネバダ州年間最優秀選手に選ばれるとともに、チームを州王者に導きました。アリゾナ州立大学に進学後は、レスリング奨学生としてNCAAディビジョン1でオールアメリカンに2度選出され、Pac-10を3度制覇しました。この時期には、ケイン・ヴェラスケスやCB・ダラウェイといった後にUFCで活躍する選手たちとチームメイトでした。2007年初頭からはアリゾナ・コンバット・スポーツで総合格闘技の練習を始め、同年3月にプロデビューを果たしました。

The Ultimate Fighter シーズン8

2008年、7戦全勝という素晴らしい戦績を引っ提げて、UFCのリアリティ番組「The Ultimate Fighter」シーズン8に参加しました。カイル・キングスベリーとのサバイバルマッチを制し、アントニオ・ホドリゴ・ノゲイラ率いるチームの1位指名を受けると、その後のトーナメントではトム・ローラー、エリオット・マーシャルを破り、決勝進出を決めました。

UFCでの活躍

2008年12月13日の決勝戦でヴィニシウス・マガリャエスと対戦し、右フックでダウンを奪い、パウンドで追撃してレフェリーストップによるTKO勝利を収め、ライトヘビー級トーナメント優勝を果たしました。その後も、UFCで数々の強豪と対戦し、その実力を証明しました。2010年にはキース・ジャーディン、アントニオ・ホジェリオ・ノゲイラに勝利し、UFC5連勝、プロ総合格闘技12連勝を達成しました。

しかし、2011年にはジョン・ジョーンズ、ティト・オーティズに敗北を喫し、連勝は途絶えました。その後、クイントン・"ランペイジ"・ジャクソンやウラジミール・マティシェンコに勝利するも、グローバー・テイシェイラにKO負けを喫するなど、浮き沈みの激しい時期もありました。それでも、ハファエル・カバウカンチ、オヴィンス・サンプルー、フィル・デイヴィス、ラシャド・エヴァンスといった強豪にも勝利し、トップ戦線で活躍し続けました。

2016年には、アンソニー・ジョンソンとのライトヘビー級王座挑戦者決定戦で敗れるも、イリル・ラティフィ、アントニオ・ホジェリオ・ノゲイラに勝利し、UFCとの契約を終えました。UFCでの戦績は15勝5敗でした。

Bellatorでの成功

2017年、Bellatorに初参戦すると、ライトヘビー級タイトルマッチでフィル・デイヴィスとの再戦を制し、王座を獲得しました。その後、リントン・ヴァッセルを破り初防衛に成功。さらに、ヘビー級ワールドグランプリにも参戦し、キング・モー、マット・ミトリオンを破り、決勝に進出しました。

2019年1月には、エメリヤーエンコ・ヒョードルとの決勝戦で1RKO勝利を収め、ヘビー級グランプリ優勝と同時にBellator世界ヘビー級王座を獲得し、二階級同時王者という偉業を達成しました。その後、シーク・コンゴとのタイトルマッチはノーコンテストとなりましたが、ワジム・ネムコフに敗れライトヘビー級王座から陥落しました。しかし、2022年には、ワレンティン・モルダフスキーとのヘビー級王座統一戦で勝利し、王座奪還を果たしました。その後、シーク・コンゴとの再戦、エメリヤーエンコ・ヒョードルとの再々戦にも勝利し、ヘビー級王座防衛を重ねました。

2024年にはPFLとの共同開催となったイベントで、ヘナン・フェレイラにTKO負けを喫しました。

ファイティングスタイルと実績

ベイダーは、レスリングで培った強靭なフィジカルと、卓越した格闘センスを武器に、打撃、グラウンドの両方で高いレベルの戦いを見せます。特に、パワフルな打撃と、ギロチンチョークなどのサブミッションを得意としています。彼のこれまでの戦績は、プロ総合格闘技で31勝8敗、1NCとなっています。

主な獲得タイトルと表彰

The Ultimate Fighter 8 ライトヘビー級トーナメント優勝（2008年）
第6代Bellator世界ライトヘビー級王座（2017年）
第4代Bellator世界ヘビー級王座（2019年）
ブラジリアン柔術 紫帯
レスリング NCAAディビジョン1 オールアメリカン（2004年、2006年）
UFC サブミッション・オブ・ザ・ナイト（1回）
* UFC パフォーマンス・オブ・ザ・ナイト（1回）

ライアン・ベイダーは、その卓越した実力と不屈の闘志で、総合格闘技界にその名を刻み続けています。

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