ラウダー・ザン・ラヴ

『ラウダー・ザン・ラヴ』（Louder Than Love）は、サウンドガーデンが1989年に発表した2作目のスタジオ・アルバムです。A&Mレコードへの移籍後初のアルバムであり、バンドにとってメジャー・デビュー作となりました。さらに、グランジというジャンルにおいて、初のメジャー・レーベルからのリリース作品としてもその名を刻んでいます。

制作の背景

シアトルのラジオ局KCMUが、A&Mレコードに対して、まだメジャー契約を結んでいないバンドの音源を集めたコンピレーション・テープを送りました。このテープがきっかけとなり、サウンドガーデンはA&Mとの契約を獲得するに至ります。プロデューサーには、過去にメタル・チャーチやフィフス・エンジェルといったヘヴィメタル・バンドを手掛けたテリー・デイトが起用され、次作『バッドモーターフィンガー』（1991年）でも引き続きサウンドガーデンをプロデュースしています。

音楽性とメンバーの変遷

ギタリストのキム・セイルは、1989年10月18日付の『シカゴ・トリビューン』紙で、「自分たちの音楽はヘヴィメタルだけでなく、キリング・ジョークやバウハウスといったイギリスのバンドからも影響を受けている」と語っています。「ゲット・オン・ザ・スネーク」では、9分の4拍子という変拍子が取り入れられており、セイルはこの曲について「踊ることはできないかもしれないが、ジワジワと迫ってくるような感覚がある」と表現しました。

アルバム発表後、ベーシストのヒロ・ヤマモトがバンドを脱退し、大学へ復学します。彼の後任としてジェイソン・エヴァーマンが加入しますが、短期間で脱退。その後、1990年4月にはベン・シェパードが正式メンバーとして加入しました。エヴァーマンによれば、バンドのロード・マネージャーはヤマモトについて「彼は生粋のパンク・ロックだった。A&Mとの契約後、バンの中での生活は終わった。彼は『こんなの俺に合わない』と感じていた」と語っていたそうです。

評価と影響

『ラウダー・ザン・ラヴ』は、アメリカのBillboard 200で108位を記録し、バンドにとって初のチャート入りを果たしました。しかし、クリス・コーネルは2011年の『ギター・ワールド』誌のインタビューで、総売上は前作『ウルトラメガ・OK』の方が上だと語っています。

音楽評論家のスティーヴ・ヒューイは、オールミュージックにおいて5点満点中3点を付け、本作の音楽性を「スローで軋むような低音チューニング、サバス/ツェッペリン風のリフの山、そしてクリス・コーネルの叫び」と評しました。

メタリカのカーク・ハメットは、本作に影響を受けて「エンター・サンドマン」のリフを作ったことを明かしています。

収録曲

1. アグリィ・トゥルース - "Ugly Truth"
2. ハンズ・オール・オーヴァー - "Hands All Over" (Chris Cornell, Kim Thayil)
3. ガン - "Gun"
4. パワー・トリップ - "Power Trip" (C. Cornell, Hiro Yamamoto)
5. ゲット・オン・ザ・スネーク - "Get on the Snake" (C. Cornell, K. Thayil)
6. ケビンズ・マム - "Full on Kevin's Mom"
7. ラウド・ラヴ - "Loud Love"
8. アイ・アウェイク - "I Awake" (Kate McDonald, H. Yamamoto)
9. ノー・ロング・ノー・ライト - "No Wrong No Right" (C. Cornell, H. Yamamoto)
10. アンカヴァード - "Uncovered"
11. ビッグ・ダム・セックス - "Big Dumb Sex"
12. フル・オン - "Full On (Reprise)"

※特記がない限り、作詞・作曲はクリス・コーネル。

他メディアでの使用例

「ハンズ・オール・オーヴァー」は、アメリカ映画『パシフィック・ハイツ』（1990年公開）のサウンドトラックに、「ラウド・ラヴ」は、アメリカ映画『ウェインズ・ワールド』（1992年公開）のサウンドトラックに使用されました。

参加ミュージシャン

クリス・コーネル - ボーカル、リズムギター
キム・セイル - リードギター
ヒロ・ヤマモト - ベース
マット・キャメロン - ドラムス

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