ガンデン寺

ガンデン寺：ゲルク派の聖地

ガンデン寺（蔵: dga' ldan）は、チベット仏教ゲルク派（黄教）の総本山であり、セラ寺、デプン寺と並びラサ三大寺の一つとして知られています。「ガンデン」とは、弥勒菩薩が修行する浄土、兜率天を意味します。

概要

ガンデン寺は、ラサから47km離れたタクツェ県に位置し、キチュ川（ラサ川）南岸のワンブル（旺波日）山の標高約4200メートルの稜線近くにあります。ラサの他の二つの主要寺院に比べるとラサからの距離が最も遠いため、観光客は比較的少ないです。しかし、ゲルク派の創始者であるツォンカパが1409年に自ら建立した寺院であり、ゲルク派の総本山として、宗教的、そして政治的にも重要な役割を果たしてきました。ツォンカパの後継者であるガンデン・ティパ（法座の継承者）は、この寺院の座主を務め、チベット仏教においてダライ・ラマ、パンチェン・ラマに次ぐ権威を持つとされています。

漢字では「甘丹寺」と表記されます。清の世宗（雍正帝）からは「永寿寺」の名を贈られました。寺院へ続く巡礼路からは、キチュ川（ラサ川）の壮大な景色を一望できます。

縁起

開山

ガンデン寺は1409年、ツォンカパが座主となり建立されたことが、ゲルク派の立宗とされています。

破壊と再建

1959年以降のチベット動乱では、ガンデン寺はダライ・ラマ側の拠点となったため、文化大革命時に徹底的に破壊され、廃墟となりました。動乱後、チベットを脱出した寺院組織はインドに亡命し、南インドのカルナタカ州ムンゴッドで寺院を再建し、活動を続けています。

ラサ郊外の旧境内でも、チベットに残った人々によって寺院としての活動が再開され、1981年から修復工事が始まりました。2008年現在、ツォンカパの霊塔を安置するヤンパチェン、ガンデン寺座主の黄金の座があるセルティカン、歴代座主の住居であるティクトカンなどが修復され、かつての威容を取り戻しつつあります。しかし、完全な復興にはまだ至っていません。文化大革命の際、ツォンカパの霊塔に保存されていた遺体は散逸し、再建された霊塔にはわずかに回収された遺骨などが納められています。

歴代座主

1409年にツォンカパが初代座主となって以来、2009年10月までに102人のガンデン・ティパが座主を務めています。2009年10月時点でのガンデン・ティパは、ラダック出身の第102代リゾン・リンポチェでした。

関連項目

ラサ三大寺
ガンデン寺
ガンデン・ティパ
セラ寺
デプン寺
六大僧院
タシルンポ寺
クンブム・チャンパーリン寺
ラプラン・タシーキル寺
ゲルク派
* ダライ・ラマ

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