ラシード・リダー

ムハンマド・ラシード・リダーについての詳細

ムハンマド・ラシード・リダー（1865年9月23日 - 1935年8月22日）は、シリア出身の著名なイスラーム法学者であり、ジャーナリストです。彼は「リダーの世代において最も影響力のある法学者」として知られ、その活動はイスラム復興運動に大きな影響を及ぼしました。特に、彼はムハンマド・アブドゥフの思想を深く受け継ぎ、さらに発展させました。

生い立ちと教育

リダーは、現在のレバノンにあたるトリポリ近郊の村・カラムーンでサイイド家に生まれました。この時期、シリアはオスマン帝国の支配下にありました。リダーは初期の教育を地域の伝統的なイスラーム教育機関で受け、その後、1884年から1885年にかけて初の旅をしました。この旅において、彼はジャマールッディーン・アフガーニーやアブドゥフと出会い、彼らから多大な影響を受けました。

1897年、リダーはエジプトのカイロに移り住み、アブドゥフと共に「マナール」誌の創刊にかかわりました。この誌は、リダーの思想を広める重要なプラットフォームとなり、彼自身もそこでの活動を生涯にわたって続けました。

イスラーム社会に対する見解

リダーは、イスラーム社会の弱体化と西洋植民地主義の影響を問題視しました。彼はスーフィーやウラマーの腐敗を批判し、彼らを「タクリード」として非難しました。リダーの主張によれば、これらの要因がイスラーム社会や科学の発展を妨げていると考えていました。彼はサラフィーヤの思想を用いて、イスラーム社会が自信を取り戻す道を模索しました。この運動は、西洋の影響を排除し、イジュティハード（独自の解釈）をもって現代に適応することが重要であるとしました。

政治的視点

政治の面でも、リダーはイスラーム世界の統合を求め、カリフ制の再構築を提唱しました。また、シューラー（合議制）の概念を導入することで、イスラーム的な民主主義を実現しようとしました。

彼によれば「シャリーアは崇拝と社会的関係から成り立っており、ムスリムはクルアーンやハディースに従うべきである」とし、法律はイスラーム的倫理と一致しているべきだとしました。また、時代が変化する中で、法律も再評価される必要があると強調しました。

さらに、彼はイスラーム社会がシャリーアに忠実であり続けることが不可欠であるとし、現代の法律や刑罰が伝統的なものと置き換わることに警鐘を鳴らしました。

思想の影響

リダーの思想は、エジプトを超えて、インドネシアやマレーシア、そしてインド、アルジェリアにまで波及しました。特にインドネシアのムハマディヤやアルジェリアのウラマー協会など、彼の影響を受けて設立された団体がいくつも存在します。また、エジプトの「マナール」誌もサラフィーヤの考えが広がる土壌を提供し、イスラム同胞団の初代指導者ハサン・アル＝バンナーにも重要な影響を及ぼしました。

リダーの活動や思想は、当時のイスラム社会において重要な方向性を示し、現代に至るまで続くさまざまな議論に影響を与え続けています。

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