ラハダトゥ

ラハダトゥは、マレーシア東部、ボルネオ島北東部のサバ州タワウ省に位置する町です。セレベス海に面したダーベル湾の北端に位置し、周囲はココアやアブラヤシのプランテーションに囲まれています。この町は、木材輸出のための港と国内線が発着するラハダトゥ空港を有しており、地域の経済を支える重要な拠点となっています。

また、ラハダトゥは自然保護区へのアクセスポイントとしても知られています。特に、ダヌムバレー保護地域への入口として、多くの観光客や研究者が訪れます。町の東にはタビン野生生物保護区、南にはマダイ洞窟があり、多様な自然環境が保たれています。

歴史

ラハダトゥの歴史は、14世紀末にイスラム教がこの地域に伝わったことに始まると考えられています。1408年のジャウィ文字で書かれた記録には、ダーベル湾に住むイダアン族のアブラハムという人物がイスラム教を受け入れたと記されています。また、この地域からは明代の中国陶器が発掘されており、15世紀には交易地として栄えていたことが伺えます。

ラハダトゥには、バジャウ族の他に、1950年代にココス諸島がオーストラリア領となった際に移住してきた人々も居住しています。

19世紀には、ラハダトゥの東に位置するトゥンク村が海賊や奴隷商人の根拠地として悪名高い場所でした。この地域の歴史には、海賊行為や奴隷貿易といった影の部分も存在します。

地理的にフィリピンスールー諸島に近いことから、多数の密入国者がいるとされ、治安上の課題を抱えています。過去には、1985年に武装勢力による銃乱射事件で11人が死亡し、2000年にはラハダトゥ東部の沖合にあるシパダン島で、欧米の観光客21人が誘拐される事件（2000 Sipadan kidnappings）が発生しました。これらの事件は、フィリピンの反政府武装勢力「アブ・サヤフ」による犯行とされています。

2013年スールー王国軍の上陸

2013年2月には、ラハダトゥ地区に「スールー王国軍」を名乗るイスラム武装勢力が不法上陸するという事件が発生しました。武装勢力は、ラハダトゥから約130km東に位置するタンダオ村を占拠し、南に約150km離れたセンポルナにも展開しました。この事件により、3月12日までに双方合わせて60人以上の死者が出るという大きな被害が発生しました。

人口

ラハダトゥの人口は、1991年の調査では約118,000人、2000年の国勢調査では156,059人となっています。この数字からも、この地域が着実に発展していることがわかります。

ラハダトゥは、その美しい自然、多様な文化、複雑な歴史が混ざり合う魅力的な場所です。しかし、過去の事件や密入国問題など、依然として多くの課題を抱えています。今後も、この地域の平和と発展が期待されます。

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