ラ・マル・ド・ボァ

「ラ・マル・ド・ボァ」（La Malle de Bois）は、JR西日本が保有する観光列車で、その名の通り「木製の旅行鞄」を意味するフランス語に由来しています。この列車は、2016年の「晴れの国おかやまデスティネーションキャンペーン」と「瀬戸内国際芸術祭2016」に合わせて導入され、デザイン監修は瀬戸内国際芸術祭の総合ディレクターである北川フラム氏が担当しました。

列車の外観は旅行鞄をモチーフとしており、ネームタグをイメージしたロゴマークが特徴的です。車内には、作曲家・藤間仁氏が作曲し、上松美香氏が演奏したオリジナルのBGMが流れ、旅の雰囲気を盛り上げます。運行開始当初は岡山駅と宇野駅を結ぶ「ラ・マル せとうち」のみでしたが、その後、広島県や香川県などへも乗り入れるようになり、現在は4つの系統で運行されています。

使用されている車両は、下関総合車両所岡山電車支所に所属する213系電車を改造したもので、全席グリーン指定席の52名定員です。座席は2人掛けのリクライニングシートと窓向きのカウンター席で構成され、1号車と2号車で左右の配置が異なります。2号車には車内販売カウンターがあり、飲食物やオリジナルグッズを購入できます。また、各車両の運転台後方にはサイクルスペースが設けられており、「ラ・マル せとうち」または「ラ・マル しまなみ」（上りのみ）で利用できます。利用には、本列車のグリーン券に加え、駅窓口での利用券（無料）が必要です。車内ではフリーWi-Fiも利用可能です。

各列車の詳細な概説は以下の通りです。

ラ・マル せとうち

最初に運行を開始した系統で、ヘッドマークには碇がデザインされています。瀬戸内国際芸術祭の会場である宇野駅へのアクセスを目的として、宇野線が最初の路線に選ばれました。自転車積載スペースが利用できる列車です。2016年の「せとうちキャンペーン」期間中には、瀬戸大橋を渡り高松駅まで乗り入れる列車も運行されました。このタイプの運行は、2017年に「ラ・マル ことひら」が登場するまで続けられました。

停車駅

岡山駅 - 宇野駅
岡山駅 - 坂出駅 - 高松駅（高松乗り入れ時）

「瀬戸内国際芸術祭2016」秋会期中には、児島駅にも臨時停車しました。

ラ・マル しまなみ

2番目に運行を開始した系統で、ヘッドマークには瀬戸内海の波としまなみ海道の橋がデザインされています。岡山駅から尾道駅までの下り列車でのみ、自転車積載スペースが利用可能です。また、列車運行に合わせて尾道駅発のガイドツアーも実施されています。2021年10月からは三原駅まで延長運転が行われ、JR西日本の観光クルーザー「シースピカ」と接続するようになりました。

停車駅

岡山駅 - 倉敷駅 - 笠岡駅 - 福山駅 - 尾道駅 - 三原駅

福山駅は2018年3月18日から、笠岡駅は2024年春から正式な停車駅となりました。

ラ・マル ことひら

3番目に運行を開始した系統で、ヘッドマークには帆船がデザインされています。かつて運行されていた高松駅までの「ラ・マル せとうち」を、琴平行きとして独立させたもので、定期運行列車としては初のJR四国への乗り入れとなりました。

停車駅

岡山駅 - 児島駅 - 多度津駅 - 善通寺駅 - 琴平駅

善通寺駅は2018年春から停車駅となりました。

ラ・マル 備前長船

4番目に運行を開始した系統で、ヘッドマークには備前焼の炎がデザインされています。

停車駅

岡山駅 - 東岡山駅 - 長船駅 - 伊部駅 - 日生駅

ラ・マル やまなみ

2024年11月2日から11月24日にかけて運行される、岡山県とJR西日本が開催する「森の芸術祭 晴れの国・岡山」へのアクセスを目的とした列車です。

停車駅

未定（詳細発表待ち）

「ラ・マル・ド・ボァ」は、美しい風景を楽しみながら、各地の魅力に触れることができる観光列車です。そのユニークなデザインと快適な設備は、多くの旅行者にとって忘れられない旅の思い出となるでしょう。

もう一度検索