ラーム・シング

ラーム・シングの生涯と治世

ラーム・シング（Ram Singh）は生年不詳ですが、1688年3月に亡くなった北インド・ラージャスターンのアンベール王国の君主であり、1667年から1688年までの事件が評判となっています。彼は一般的にラーム・シング1世（Ram Singh I）として知られています。彼の生涯は多くの戦争や政治的な出来事に彩られています。

即位前の経歴

ラーム・シングはジャイ・シングの息子としてアンベールで生まれました。若い頃から父の遠征に従事し、1654年にはすでに騎兵3,000の指揮官としての地位を確立しました。この経験は、彼の後の軍事活動に大きく寄与しました。1660年には皇帝アウラングゼーブの命令を受け、単独でガルワール王国のシュリーナガルへの遠征に出発しました。

彼の父ジャイ・シングは、1664年にマラーターの指導者シヴァージーを打倒するためデカン地方へと向かいましたが、ラーム・シングは宮廷に留まり、父からの返答を待つ立場でした。1665年、父がシヴァージーに勝利を収めたことで、ラーム・シングはシヴァージーと共にアウラングゼーブと会うよう命じられました。しかし、1666年にはシヴァージーがアーグラで幽閉され、その後の脱走に関与したとの疑惑が持たれ、彼の父はその疑いを晴らすため宮廷に向かう途中で亡くなりました。ラーム・シングはその結果、王位を継承することになりました。

アッサムへの遠征

1667年12月、ラーム・シングはアッサム地方への遠征に派遣されました。この地域ではアーホーム王国が支配しており、その指揮官ミール・ジュムラーの死後、王国からの反乱が起きたため、彼が任されることとなりました。ラーム・シングはアッサム軍を追い詰め、グワーハティーに包囲しますが、ムガル軍はサラーイガートの戦いで敗北し、結果的にグワーハティーを放棄せざるを得なくなりました。この敗北は、ムガル帝国の遠隔地における支配の限界を示すものであったと歴史家サティーシュ・チャンドラは述べています。

アフガニスタンへの任務

1676年になるとラーム・シングはアーグラに戻り、5000人の指揮官に任命されました。その後、アフガニスタンの辺境でのパシュトゥーン人の統治にあたり、多くの困難に直面しました。1678年、マールワール王国の君主が継嗣なく亡くなった際、アウラングゼーブは国を併合し、さらにその年の4月には異教徒へのジズヤを復活させました。これに対するラージプートらの反乱が起るなか、ラーム・シングは帝国への忠誠を誓い、アフガニスタンに留まり続けました。

一方、彼の息子キシャン・シングはデカン戦争へ従軍していたが、1682年に亡くなりました。ラーム・シングはその死に深いショックを受けますが、帝国の命令には従わざるを得ませんでした。最終的に、彼は1686年に地位を解かれ、アフガニスタンのコーハトへと送られました。

晩年と死

ラーム・シングは1688年4月にコーハトで亡くなり、死後その王位は彼の孫ビシャン・シングが継承しました。彼の治世は、軍事的な遠征や内政の変動を通じて、北インドの歴史において重要な位置を占めることになりました。

もう一度検索