リチャード・クロス (初代クロス子爵)

リチャード・アッシュトン・クロス：ヴィクトリア朝の政治家、初代クロス子爵

リチャード・アッシュトン・クロス（Richard Assheton Cross, 1st Viscount Cross, 1823年5月30日 - 1914年1月8日）は、ヴィクトリア朝時代のイギリスで活躍した政治家であり、貴族でした。保守党政権下で重要な閣僚職を歴任し、社会改革やインド統治に大きな影響を与えました。

生涯

1823年、リチャードはウィリアム・クロスの三男として、イングランドのランカシャー州で生まれました。ラグビー校を経てケンブリッジ大学トリニティ・カレッジで学び、バチェラー・オブ・アーツの学位を取得。その後、法曹界に進み、リンカーン法曹院とインナー・テンプルで法律を学び、弁護士となりました。

政治家としてのキャリア

1857年、クロスはプレストン選挙区から庶民院議員に選出され、政界入りを果たします。その後、南西ランカシャー選挙区、ニュートン選挙区からも選出され、保守党議員として活躍しました。

1874年、第二次ディズレーリ内閣において内務大臣に就任。公衆衛生法や職工住宅法の制定を主導し、都市のスラムや不衛生な環境の改善に尽力しました。また、第一次ソールズベリー侯爵内閣でも内務大臣を務め、治安維持や社会福祉の向上に貢献しました。

1886年、第二次ソールズベリー侯爵内閣ではインド大臣に任命され、インドの統治に携わりました。同年にはクロス子爵に叙せられ、貴族院議員となります。

1895年、第三次ソールズベリー侯爵内閣ではランカスター公領大臣、後に王璽尚書を歴任し、政権を支えました。1902年に政界を引退し、1914年1月8日に90歳で亡くなりました。

家族

1852年、ジョージアナ・リオンと結婚し、5人の子供をもうけました。長女ジョージアナ・ハリエット、次女アン・マーガレット、長男ウィリアム・ヘンリー、次男ジョン・エドワード、三男チャールズ・フランシスです。長男のウィリアム・ヘンリーは、第2代クロス子爵リチャード・クロスの父となりました。

栄典

クロスは、その功績により数々の栄典を授与されています。

1886年：初代ランカスター州ブロートン・イン・ファーネスのクロス子爵
1880年：バス勲章ナイト・グランド・クロス（GCB）
1892年：インドの星勲章ナイト・グランド・コマンダー（GCSI）
1874年：枢密顧問官（PC）
1877年：オックスフォード大学名誉民事法学博士号（DCL）
1879年：王立協会フェロー（FRS）
1885年：セント・アンドルーズ大学名誉法学博士号（LLD）
ケンブリッジ大学名誉法学博士号（LLD）
* リーズ大学名誉法学博士号（LLD）

また、ランカシャー副統監、チェシャー治安判事、ランカシャー治安判事などの名誉職も務めました。

功績

リチャード・アッシュトン・クロスは、内務大臣として公衆衛生法の制定やスラム改善を推進し、労働者の住環境改善に貢献しました。インド大臣としては、インドの統治に携わり、イギリス帝国の拡大に寄与しました。彼の政策は、ヴィクトリア朝時代のイギリス社会に大きな影響を与え、その功績は今日でも高く評価されています。

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