リョート・マチダ

リョート・マチダ：空手道を極めた異色の総合格闘家

リョート・マチダ（Lyoto Machida、1978年5月30日 - ）は、ブラジル出身の日系二世総合格闘家です。父親は空手家で、幼少期から空手を始め、様々な格闘技を習得しました。その独特なファイトスタイルと、リング内外での謙虚な姿勢は、多くのファンを魅了しています。

生い立ちと格闘技の道

父親は空手家で、22歳でブラジルへ移民した町田嘉三。母親はユダヤ系ブラジル人です。4人兄弟の三男として、格闘技一家に生まれ育ちました。3歳から父親の道場で空手を学び始め、8歳で相撲、16歳からはブラジリアン柔術、ムエタイ、ボクシングなど、様々な格闘技を経験しました。空手ではブラジル王者、南アメリカ選手権準優勝などの実績を誇り、相撲でもブラジル選手権で準優勝するなど、若くして才能を開花させました。

2000年、父の縁でアントニオ猪木にスカウトされ、新日本プロレスのロサンゼルス道場でトレーニングを積みました。この時期には、中邑真輔やブライアン・ダニエルソンといった、後の格闘技界を牽引する選手たちと切磋琢磨しました。

プロ格闘家としてのキャリア

2003年5月、新日本プロレス主催の総合格闘技大会でプロデビューを果たし、判定勝利を収めました。同年には、アントニオ猪木がブラジルで開催した大会でTKO勝利、年末にはリッチ・フランクリンにKO勝ちを収めるなど、デビューから快進撃を続けました。

その後も、K-1、HERO'Sといった舞台で活躍し、BJ・ペンとの異質な試合でも判定勝ちを収めました。2006年には、グラップリング大会でも勝利を収め、ライトヘビー級に転向すると、WFAを経てUFCへ移籍しました。

UFCでの活躍と王座獲得

2007年、UFCデビュー戦で判定勝利を飾ると、その後も連勝を重ねました。2009年には、UFC世界ライトヘビー級王座に挑戦し、無敗の王者ラシャド・エヴァンスをKOで破り、王座を奪取しました。この試合で「空手が復活した」と叫び、自身のバックボーンである空手への誇りを示しました。

初防衛戦ではマウリシオ・ショーグンに判定勝ちを収めましたが、再戦ではKO負けを喫し、王座から陥落しました。その後も、クイントン・"ランペイジ"・ジャクソンやランディ・クートゥアといった強豪と対戦し、勝利を重ねました。

2011年には、ジョン・ジョーンズとのタイトルマッチで敗れ、王座奪還はなりませんでしたが、その試合はファイト・オブ・ザ・ナイトに選ばれました。その後も、ライアン・ベイダー、ダン・ヘンダーソンといった強豪を破り、ミドル級に転向。

ミドル級では、マーク・ムニョスにKO勝ち、ゲガール・ムサシに判定勝ちを収めるなど、新たな階級でもその強さを示しました。2014年には、ミドル級王座に挑戦しましたが、クリス・ワイドマンに判定で敗れました。その後も、CB・ダラウェイに勝利するなど、ミドル級でも活躍を続けましたが、ルーク・ロックホールド、ヨエル・ロメロに敗れました。

2016年には、禁止薬物の使用が発覚し、18ヶ月間の出場停止処分を受けましたが、2017年に復帰しました。

Bellatorへ移籍

2018年、UFCを離れBellatorに移籍しました。移籍後、元Bellator世界ミドル級王者ハファエル・カルバーリョに判定勝ち、チェール・ソネンにTKO勝ちを収めるなど活躍しましたが、ゲガール・ムサシとの再戦や、フィル・デイヴィスとの再戦では敗れました。その後、ライアン・ベイダーとの試合や、ファビアン・エドワーズとの試合でも敗れ、現在に至ります。

人物とエピソード

リョート・マチダは、その独特なファイトスタイルだけでなく、礼儀正しく謙虚な人柄でも知られています。リングに上がる際には必ずお辞儀をし、常に相手への敬意を忘れません。

また、自身の強さを過信することなく、常に向上心を持って練習に取り組んでいます。試合後のインタビューでは、「私はUFCファイターの中で最も弱者である」と発言するなど、謙虚な姿勢を崩しません。

また、父から受け継いだ飲尿療法を実践していることでも知られています。

ファミリー

実兄のシンゾー・マチダは、2006年に日本空手協会の世界大会で準優勝しました。また、2人の息子がおり、それぞれ「タイヨウ」「カイト」と名付けています。

主な獲得タイトルと表彰

第10代UFC世界ライトヘビー級王座
UFC ファイト・オブ・ザ・ナイト（3回）
UFC ノックアウト・オブ・ザ・ナイト（4回）
UFC パフォーマンス・オブ・ザ・ナイト（2回）
SHERDOG 殿堂入り
SHERDOG ノックアウト・オブ・ザ・イヤー（ランディ・クートゥア戦）

出演作品

ネバー・バックダウン2（2010年）
Like Water（2011年）
* Tapped Out（2014年）

リョート・マチダは、総合格闘技界において、独自の存在感を放つ選手です。その謙虚な姿勢と、常に進化を続ける姿勢は、多くのファンに感動を与えています。

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