リン・カーター

リン・カーター：幻想文学の巨人

リン・カーター（1930年 - 1988年）は、アメリカ合衆国を代表する幻想文学作家、SF[[作家]]、評論家、そして編集者として、20世紀の幻想文学界に多大な影響を与えた人物です。フロリダ州セントピーターズバーグに生まれ、コロンビア大学を卒業。幼少期から幻想文学、特にファンタジーとSFに没頭し、多くのファンジンに小説や評論を寄稿しました。

1957年に作家デビューを果たすと、その後精力的に執筆活動を行い、レムリアン・サーガ（Thongorシリーズ）など数々の作品を発表しました。これらの作品は、当時忘れられかけていたヒロイック・[[ファンタジー]]というジャンルを再び脚光を浴びせることに大きく貢献しました。カーターは単なる作家としてだけでなく、編集者としても重要な役割を果たしました。出版社バランタイン・ブックスにおいて「バランタイン・アダルト・ファンタジー」というペーパーバック叢書を編集し、大人向けのファンタジー作品を広く一般に紹介する役割を担いました。これにより、ファンタジー文学はより広い読者層に浸透することとなりました。

カーターは、L・スプレイグ・ディ・キャンプ、ジョン・ジェイクスらと共に、1960年代に「アメリカ剣士と魔術師ギルド」というヒロイック・[[ファンタジー]]作家グループを結成しました。このグループは、当時の幻想文学シーンにおいて重要な役割を果たしました。さらに、ディ・キャンプらと共に、ロバート・E・ハワードの代表作である『コナン』シリーズの続編を執筆。ハワードの残した世界観を継承、発展させ、コナン人気を継続させることに貢献しました。

クトゥルフ神話においても、カーターは特筆すべき功績を残しています。彼は、作家同士の書簡など、これまで断片的にしか語られていなかった設定を小説に反映させ、クトゥルフ神話の深化に大きく貢献しました。具体的には、クトゥルフの出身惑星や眷属の設定を新たに構築し、さらにGreat Old Onesに対抗する存在としてLesser Old Onesという概念を生み出しました。これらの創造は、クトゥルフ神話の世界観を大きく広げ、多くの後続作家に影響を与えました。

カーターは、ニューヨークに実在した文士の集まり「Trap Door Spiders」の一員でした。この集まりは、後にアイザック・アシモフが小説の中で描いた架空の集まり「黒後家蜘蛛の会」のモデルになったと言われています。アシモフの小説では、画家マリオ・ゴンザロというキャラクターがカーターをモデルとしていると考えられています。

カーターの著作は多岐に渡り、『レムリアン・サーガ』、『緑の太陽』シリーズ、『エイボンの書 クトゥルフ神話カルトブック』、『カーター版ネクロノミコン』など、数多くの作品を残しました。また、評論家としても活躍し、『トールキンの世界』、『ファンタジーの歴史 空想世界』、『クトゥルフ神話全書』など、幻想文学研究においても重要な著作を世に送り出しました。

これらの活動を通して、リン・カーターは単なる作家という枠を超え、幻想文学界を牽引する存在となりました。彼の功績は、現代の幻想文学に多大な影響を与え続けています。彼の作品は、現在でも多くのファンに愛され、新たな読者を生み出し続けています。カーターが残した膨大な作品群と、幻想文学発展への貢献は、これからも語り継がれていくでしょう。

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