リヴェンジ級戦艦

リヴェンジ級戦艦：第一次世界大戦の巨艦とその波乱に満ちた生涯

リヴェンジ級戦艦、あるいはロイヤル・サブリン級戦艦として知られるこの艦級は、第一次世界大戦下のイギリス海軍を象徴する超弩級戦艦です。5隻が建造され、艦名が全て「R」で始まることから「R級」と呼ばれました。本稿では、その設計思想から艦歴、そして終焉までを詳細に解説します。

誕生の背景：ドイツ海軍への対抗と現実的な制約

イギリス海軍は、ドイツ帝国海軍の増強に対抗するため、強力な戦艦の建造を急務としていました。先行するクイーン・エリザベス級戦艦は、15インチ（38.1cm）主砲8門を備え、高速性も確保していましたが、さらなる戦力増強が求められていました。

リヴェンジ級は、既存の15インチ砲を有効活用し、コストを抑えた戦艦として計画されました。当時、日本やアメリカ合衆国の戦艦は14インチ砲を搭載するにとどまっており、ドイツ海軍も15インチ砲搭載戦艦の開発は遅れていました。そのため、15インチ砲8門を備えたリヴェンジ級は、イギリス海軍にとって大きな戦力優位をもたらすものと期待されました。

設計にあたっては、アイアン・デューク級戦艦の設計を流用しつつ、主砲をクイーン・エリザベス級と同等の15インチ砲8門に改めました。また、燃料事情を考慮し、重油と石炭の混焼が可能なボイラーを採用したものの、後に全て重油専焼ボイラーに変更されています。これは、イギリス海軍が石油の海外依存を解消する必要性を痛感したためです。最終的に達成された速力23ノットは、当時としては十分な性能でした。

艦形と武装：バランスの取れた戦闘能力

リヴェンジ級は、長短船首楼型船体を採用し、15インチ砲を連装砲塔に収めて2基背負い式に配置していました。副砲である15.2cm速射砲は、舷側と甲板上に配置されていましたが、甲板上の砲は後に撤去されています。艦載機の発艦設備も就役後に追加されました。

強力な主砲に加え、15.2cm速射砲、魚雷発射管も備えており、対艦戦闘能力は高いものでした。防御力も重視され、全体防御方式を採用することで艦体の大部分を装甲で覆っていました。主砲塔、副砲ケースメイト、弾薬庫、機関部なども厚い装甲で保護されていました。

激動の時代：第一次世界大戦から第二次世界大戦へ

リヴェンジ級は第一次世界大戦において、グランド・フリートに所属し、ユトランド沖海戦にも参加しました。戦後も順次近代化改装を受けましたが、クイーン・エリザベス級のような大規模な改装は行われていませんでした。

第二次世界大戦では、主に船団護衛や艦砲射撃などの任務に従事しました。旧式化しつつありましたが、強力な主砲と堅牢な防御は依然として有効で、ドイツ海軍の通商破壊作戦に対して大きな抑止力となりました。しかし、1939年にはロイヤル・オークがUボートの奇襲により撃沈されるという悲劇も経験しています。

ノルウェーの戦い、メルセルケビール海戦、スパルティヴェント岬沖海戦など、リヴェンジ級は様々な海戦に参加し、その存在感を示しました。太平洋戦争開戦時にはインド洋で日本海軍の進出を警戒し、セイロン空襲にも遭遇しましたが、損害は免れています。マダガスカル攻略作戦では、ラミリーズが日本の特殊潜航艇の攻撃を受け、大破するという出来事がありました。

終焉とその後：歴史の証人として

1943年以降、リヴェンジ級は予備艦となり、ノルマンディー上陸作戦への参加などを除いて、大きな役割は担いませんでした。戦後、老朽化したリヴェンジ級は解体されていきましたが、ロイヤル・サブリンはソ連に貸与され、その後返還されるという異例な経歴を残しています。

リヴェンジ級戦艦は、第一次世界大戦と第二次世界大戦という激動の時代を生き抜き、イギリス海軍の栄光と苦悩を物語る艦級として、海軍史にその名を刻んでいます。その設計思想や戦闘能力、そして波乱に満ちた艦歴は、現代においても多くの研究者や愛好家を魅了し続けています。

同型艦

リヴェンジ
レゾリューション
ラミリーズ
ロイヤル・サブリン
* ロイヤル・オーク

建造中止となった艦も存在しました。これらの艦の建造計画はキャンセルされ、その予算はレナウン級巡洋戦艦の建造に充てられました。これは、リヴェンジ級計画の名残とも言えます。

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